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今朝は櫂を怒ってしまった。
例によって私は起きたらパジャマを着てないし。
首筋の見える所にキツめに紅い痕は付いてるし。
大阪の6月は真夏なんだよ!どんな服を着て学校に行けと言うの!
「肌の露出はとにかく控えろ、襟ぐりの広い服は特に禁止。スカートは俺といる時のみ」
暑くて死んじゃうって!ここは福島じゃないのよ。この季節に平気で気温30℃を越える大阪よ。
仕方ないので涼し気なオーガンジー素材のストールを巻いて誤魔化しているけど、本当はこんなもん巻きたくない〜!
「あら洸、今日は水色のストール?昨日のピンクも良かったけど、それも可愛いわ」
美波さんは言ってくれるけど、もちろんこれはファッションじゃない。櫂がやらかす度に増えていくストールはもう虹の七色全部あるわよ。
「ああ美波さん、今日も暑いわね」
もうそれ以外の挨拶がない。
去年も思ったけど、大阪の暑さは本当に半端ない。湿気が多くてジメッとしてるから余計に暑さが倍増。
「まだまだこのぐらい序の口でしょ。そうか、洸はまだ二年目だ」
美波さんはもう何年も住んでいるのよね、よく生きて行けてるな。
去年、この暑さで汗が止まらなかった時には自分の具合が悪くなったのかと思った。夜寝る時にエアコンをタイマーで止めたら死にかけたし。
「これからもっと暑くなるのよ、スカートとかTシャツとか着るものに工夫してね。でも陽に焼けるのはNGよ」
「スカート…櫂がダメって」
「あ〜じゃ、綿のパンツとかね」
「地獄…」
服ぐらい自由にさせろ〜!
「洸、櫂は元気?最近会ってないんだ」
ハルが言ってくる。そういや最近、櫂は大学が忙しくて日曜日も大学の図書館に通っている時がある。
「うん、元気は元気よ。色々忙しいみたいだけど」
寝てる私にちょっかいを出してくる暇はあるみたいだけど。
「そうか、お盆に吉野に付き合ってくれるって言ってたけどやっぱり悪いかな」
「それはきっと行くよ」
櫂は約束を破らない。
「近くなったら連絡があると思うし、たまにはメールでもしてあげて」
「うん、わかった」
ハルは液タブ(液晶ペンタブレット)を持って実習室の方に消えていった。
私も一応デジタルイラストは学んだけど、思うような絵にならなかった。やはり水彩やアクリルのようなアナログが好きで、今はデジタルは選択していない。
「じゃ、私も行くね」
美波さんもハルを追う。二人は今もとてもいい雰囲気だ。相変わらず美波さんはハルを弟扱いしちゃう時もあるが、ハルはそれでも挫けない。
ただ、まだその先の一歩を踏み出せないのは、美波さん側に何か壁があるようだと櫂が言っていた。
それが何なのかは未だに分からない。
「さて、私も実習室だ…あれ?」
立ち上がるといきなりクラっと来た、思わず又席に着席。
立ちくらみかな…暑さにやられてるんだ。
もうちょっと休んでから行こう…
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