比翼連理

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   翌日、私はひとりで隣町の婦人科クリニックを受診した。管理人さんに教えて貰ったところだ。  櫂が付いて来たがったけど、学校の大事な講義があったのと、私がひとりで行きたかったから遠慮してもらった。  櫂は自分が私を苦しめた原因になった事にひどくショックを受けていたのだと思う。昨日、泣き続ける私をただ抱きしめて謝り続けていたから。  私もどうして良いのか分からない。  ただ櫂に私の本気の言葉が通じなかったのがショックだった。 「卵巣嚢腫の疑いがありますね」  聞き慣れない病名を医師に告げられ戸惑う。診察は内診と超音波とCT撮影、それと血液検査だった。 「ご結婚をされておられますね。検査の結果は二日後に分かりますので、出来ればご主人とお二人での来院をお願い出来ますか?」 「あ…はい」  櫂が一緒じゃないとダメなんだ。そんなに大変な病気なの…?卵巣嚢腫ってなに…?  婦人科の病気って、赤ちゃん出来なくなったりしないの…?  電車の中でスマホで調べた。 『 卵巣とは卵子の元になる原始卵胞が熟したらそこからそこに排出され、卵子は、卵管采で受け止められ、卵管のなかに入ります。卵管内で精子と出会い、受精すれば、子宮に運ばれ、妊娠が成立したことになります。  卵巣には、このように胎児のもととなる卵子を育てる役割の他、妊娠に備えて子宮をコントロールする働きがあります。卵巣のう腫とは、卵巣内に液体や脂肪がたまってしまう、触るとやわらかい腫瘍のことです。肥大するとこぶし大やそれ以上になることも少なくありません。なぜ、こうしたのう腫が形成されるのか、原因はまだよくわかっていません。自覚できる症状として性交時の痛みなどがあります 』  良く分からないや、でも赤ちゃんの卵を作るところの異常って事だよね。  どうしよう…櫂になんて言おう。  そうだ、お母ちゃんに言わなきゃ。何かあったら必ず相談しなさいって…  お母ちゃん…ちょうど今はお昼休みだ。  帰宅した私はスマホを手に取った。すぐにお母ちゃんに繋がる。 『もしもし、洸?』  お母ちゃんだ。お母ちゃんの優しい声…不安でいっぱいだった心がふと緩む。 『洸?どうしたの?お母ちゃんよ、もしもし?』 「お母…ちゃ…!」  なかなかまともに言葉が出てこなかった。
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