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一八祭り
僕の村には子供をそっちのけで大人が盛り上がる祭りが存在する。
山車や神輿に大人たちが熱を上げるのではなく、出店に群がるのだ。それも、一人や二人ではなく何十人、時には百人以上も集まって、まるで甘いものを見つけた蟻の大群のように一箇所に群がると聞いたことがある。
八月の一日と二日の二日間で行われるその祭りは、一部を除けば何の変哲のないただの村祭りだ。
『一八祭り』
そのお祭りのことをみんながそう呼ぶ。
きっと村の名前の一八村から来ているのだろう。
八月の一日の朝、大地がまだ月明かりに照らされているころ、村の裏山にある神社に、どこからともなく大人たちが集まってきて、今年の祭りの無事を祈願するところから始まる。
村長はもちろん、神社の神主も中心となって行われるこの祭りの起源は、まだまだ浅い十年くらいだという。
今の村長が発起人となって始まったこの祭りのおかげで、この村の財政は赤字状態から大きくV字回復したと聞いたことがある。
難しい話はよくわからないが、どこかでこの祭りを聞きつけた村外の人達も沢山足を運んでくる。
しかしそれは決まってあの場所なのだ。
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