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3 輝きと原石
「放送席、放送席! ヒーローインタビューです! ノーアウト満塁のピンチを救った大湾選手と、9回の裏に逆転サヨナラスリーランを放った真砂選手に来てもらいました!」
それから3年の月日が流れた。ふたりは各ポジションでファン投票1位を獲得し、オールセントラルの一員としてオールスターに出場していた。
満天の星空の下、ふたりは躍動した。
8回の表に中継ぎが作ったピンチを、日南子は闘志剥き出しのピッチングと進士の大胆なリードで切り抜ける。9回も回跨ぎながら、三者連続三振に切って取り、球場を湧かせた。
一方の進士も代打の途中出場ながら二塁打を放ち、目まぐるしく替わる中継ぎ陣を培ったリードで操縦し、得点を与えることがなかった。8回に投げた中継ぎが、緊張からかノーコン過ぎてピンチを招いたものの、前出通り日南子とのコンビネーションで抑えられた。
9回の裏にオールパシフィックのクロ―ザーを長短打で攻め、進士に打席が回ってきた。フルカウントに追い詰められたものの、軽打の意識でバットを振ったら真芯を捉え、快音を残してバックスクリーンに飛び込んだのだった。
「同じチームのバッテリーということもあって、お互いの活躍は嬉しいのではないですか!」とインタビュアー。
「嬉しいです! ここまで来れたのもある方のおかげです!」
日南子の言葉に進士もそうだと言わんばかりにうなずいた。
「そう、ルーキー時代にあの方をおかげもあって、自分たちはここまでやれました!」
「なるほど~。お二方にとっては、良い思い出なんですね!」
「はい、ひと夏の良い思い出です!」
「ふたりともよくがんばったね。えらいえらい」
テレビの前で日南子と進士の雄姿を見届けた中津川は、自然と頬を伝って出た涙をハンカチで拭いた。
「ふたりとも立派になったなぁ……。君たちも先輩たちの活躍を見たね? 横浜を強い球団にするために、がんばってね。今日は僕のおごりだから、たくさん食べて食べて!」
「はい!」
ふたりの茶髪の女が気持ちのいい返事を返した。ひとりはロングヘアーで大柄、もうひとりはショートヘアーで小柄。
このふたりが戦力になることで、横浜は久しぶりの優勝を果たすのだが、それはまた先の話である。
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