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「“ウヅキ~、ケータイ鳴ってるぞ~”」
医師として働いているアメリカの大学病院。
午前の外来もようやく終わり当直明けの怠い身体をソファーで休めているときだった。
同僚にそう声を掛けられてしぶしぶ電話に出ると。
『やあ夘月、久しぶりだね?』
聞いたことのある嫌な声が聞こえてきた。
「...何?父さん。」
『実は日本に戻ってきて欲しくてね。』
「はぁ? ヤダなんですけど。」
『夘月可愛い!!!』
「煩い。」
『あ、ごめんね!じゃなくて日本に戻ってきなさい。』
急に真剣な口調になった父さんに夘月は溜め息をつきたくなった。
「...なんで?」
『うちが経営してる学園に通ってもらいたくてね。夘月は日本の学校はまだ知らないだろう?』
「...べつに知らなくて良いと思うけど。大学は出てるしもう普通にに働いてるし。」
『そうなんだけどね。実はそこの保険医の助手もしてもらいたいな~って思ってて。』
「はぁ?なんで?」
『いやぁ、あの保険医腕は良いくせに片付けとか書類仕事が馬鹿ほど出来なくてねぇ。学校行くにしても保険医が近くに居る状況は夘月のためにもなるかなぁっと思いまして。』
父さんは少しだけ心配そうに言う。
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