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 奏ちゃんちにちょくちょく泊まっていたのはいつ頃だったかな? 小学校の時だっけ?  直樹は考えていた。直樹の家と交代で泊まり合い、毎週末を一緒に遊んだ。その頃はなにも悩みなんてなく、なにも考えずに、自分がどれだけ幸せかなんて知らずにいた。  奏真がムッとした表情で携帯を差し出す。直樹は母親と適当に話をして電話を切った。 「ありがとー。うまいねー」  直樹の言葉を無視するかのように、奏真が冷めた声で言った。 「昨日泊まったの? そのよく知りもしないライターさんのとこに」  奏真の鋭いツッコミに直樹は苦々しい顔をした。   げっ! 母ちゃん、余計なことを! 「え……え? あは。えっと……あの、色々話したら、スゲーいい人でさー。その……」  直樹がしどろもどろに説明すると、奏真が言った。 「いくらいい人っていったってさ、よくわかんないんでしょ? 小学生じゃないんだから。ヘコヘコ付いてってお泊りしてんじゃないよ」  偉そうにお説教をされるが、心配しているのが伝わってきて直樹は嬉しくなった。 「うん。ごめんなさい。気をつける」  俺、やっぱり奏ちゃんが好きなんだな。こうやって話してるとしみじみ思う。奏ちゃんの説教じみた話し方、なんか懐かしい。 「お、おう……」  あまりに素直に謝る直樹に、奏真は戸惑った様子で頷いた。
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