ワタシは宇宙人 「夜中の訪問者」 #11

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ワタシは宇宙人 「夜中の訪問者」 #11

わたしの人生は奇想天外である。 きっとわたしの人生の筋書には、何か経験することを、欲張ってたくさん詰めこんだのだろう。 "そっか。人は色々経験をするために生まれてきたのかも知れない。" そんなことを、何となくふと思った高校2年生だった。 しかしながら、毎度毎度の出来事にわたしはいつも振り回されているのだ。 ある夜の出来事だった。 aa2ad510-4a49-41be-8b9a-d0cca447f2d3 その日もいつものように、わたしは縁側の横にある部屋で寝ていた。 "…ザッ、ザッ、ザッ、ザッ…" 夜中なのに、やけに外がうるさくて目が覚めた。 その音は間違いなく縁側の前に伸びる道路から聞こえてきた。 そして "ザッ、ザッ、ザッ…" と通り過ぎて行った。 翌日も、また翌日もその音はやってきては、うるさくて目が覚めた。 それが何の音かサッパリ分からなかったが、分かった事がある。 それは決まって道路の上手のほうからやって来ては、下手の方へと遠のいて行くということだ。 そして分かった事がもう1つあった… その日もいつものようにそれが聞こえてきて目が覚めた。 "…ザッ、ザッ、ザッ、ザッ" 一体何の音なんだろ… "砂利?" いや…そんなハズはない。 家の前の道路はアスファルトなのだ。 その音はだんだんと家の前の方まで近づいてきた。 "ザッ、ザッ、ザッ、ザッ" 足音? そして、そのもう1つ分かったこととは、複数であるということだ。 まるで足並み揃えて行進しているかのような音だった。 まさか(笑) そんなハズはない。そう思いながら、外に耳を傾けていた。 すると、音はピタリと止んだ。 次の瞬間『キィーーッ』と縁側のガラスの引き戸が開く音がした。 入ってくる!! そう思ったわたしは力のある限り叫んだ。 "泥棒ーーーーーーー!!!助けてーーーー!!!" これに驚いて家族中が慌てて起きてきた。 しかし、泥棒の姿などどこにも無かった。 ただ、 縁側のガラスの引き戸が30センチ程、空いていた。 本当に怖かった。 翌日、祖母に昨夜の事を一部始終話した。 すると、祖母はしばらく黙ったあとに話してきた。 昔は家の前は砂利道で、赤紙が届いた村の若者たちは、胸を張って敬礼をしながらみんなで行進して出兵して行ったそうだ。 祖母は婿取りで、もともとこの家で生まれ育った。当時の祖母はどんな思いでそれを見送ったのだろうか。 そんな時代があったのかと思うと、とても切ない気持ちになった。だからといってわたしはどうする事もできなかった。 それからは二度とその音は聞こえなくなり、また静かな日々が戻った。
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