ワタシは宇宙人 「無くした涙」 #07

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ワタシは宇宙人 「無くした涙」 #07

ある朝、教室に入るとわたしの机はポツンとそこにあった。 どうやらわたしの机はバイ菌で汚れているらしく、周りの机は遠ざかっていた。 授業中は後ろからモノが飛んできた。どこかからクスクスと笑う声が聞こえてくる。でも、怖くて振り返れなかった。 廊下や教室で誰かとすれ違うと "うわっ、汚ねぇー。来んじゃねぇ。見るな。" と言われ避けられた。 わたしが給食当番のときは誰も取りに来なかった。そんな時は担任が黙って代わってくれた。 わたしには、ただひたすら我慢することしか出来なかった。 51076166-c9dd-44c8-98d7-1cd7d99ab1d1 "それはセミの鳴く暑い日だった。" 部活の先生に呼び出された。 どうやら、わたしが教室では調子に乗っていて、部活に来ると大人しくなっていると誰かが告げ口をしたようだ。 わたしにとっては一体何の事なのか理解に苦しんだ。誰とも話してないのに、なぜ。 わたしに悪いとこがあれば直します。だから教えて欲しかった。わたしの悪いところを誰かが教えてくれれば、わたしはずっと楽になれた気がした。 決心して、先生に聞いた。 "先生……わたしの何がダメなのでしょうか。" その拍子に、先生は手に持っていた指揮棒を床に投げつけ、譜面台を蹴り飛ばしてきた。 わたしは失禁しそうになった。足は細かく震え、ツバもまともに飲み込む事が出来なかった。 "おめぇの存在がダメなんだよ!お前なんか生きている価値もない人間なんだよ!クズ人間。" そう言って立ち去って行った。 あれ… おかしいな。涙も出てこないや。 悲しいのに、辛いのに、苦しいのに、涙が出てこない。 "お父さん、お母さん、わたしみたいな人間が生まれてきてごめんなさい。生きていてごめんなさい。" それからわたしは笑えなくなった。 相変わらず誰とも一言も口を聞かない日が続いた。 わたしは毎日、ただ静かに息をしていた。 "神さま、教えてください。わたしに生きる価値はあるのでしょうか。"
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