9人が本棚に入れています
本棚に追加
ワタシは宇宙人 「トンネルの先へ」 #09
わたしはどこか人と変わっているのかも知れない。でも、もう少しだけ生きてみようと思った。
中学3年になって少しずつだけど、いじめは軽くなっていった。
夏も終わる頃。
3年生は部活を引退し、受験に向けてみんな勉強に意識が向き始めていた。
"移動教室で私が廊下を歩いていた時のことだ。"
友達とふざけていた男子が、後ろからわたしにぶつかって来た。
その衝撃で、わたしはペンケースを落とした。
振り返ると、いつもわたしをバイ菌扱いしていたS君だった。
すると、彼は黙ってわたしのペンケースを拾って
"わりぃな、"
と言って去って行った。
"え…?"
拍子抜けした。
でも、涙が出てきた。
何となく、トンネルの出口が見えてきた気持ちだった。
そして、翌年の3月。
わたしは思い出深かった中学校を卒業した。
その後、入学した高校では全く新しい環境に変わった。
中学の時にいじめて来た人たちもいたが、まるで何事も無かったように話しかけてきた。
そしてわたしも何事も無かったように返事していた。
"人間て難しいな…"
そんな風に思いながら、わたしは過去のことを水に流した。
わたしは少しずつ自分を取り戻し、友達も増えて楽しい日々が戻ってきた。
"トンネル…抜けたかな"
最初のコメントを投稿しよう!