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女神は、私の希望をしっかりと叶えてくれた。
中世ヨーロッパ風の世界。ドラゴンもいて、モンスターもいて、多くの王国が存在しお姫様やら騎士やらが存在する――まさに私達現代日本人が想像する“ザ・RPGの世界”だ。そこは私を召喚した女神が管轄する世界の一つであり、その世界には複数の女神が存在して支配権を争っているのだという。
その結果、それぞれの女神を唯一神と定める宗教を主軸に、戦争が勃発。私を召喚した女神様――エリザベータは、その戦争を終わらせる勇者を求めていたというのである。この世界を、エリザベータを唯一神とする宗教一色に染め上げて統一し、平和をもたらしたいというのだ。
宗教戦争なんぞに巻き込まれるのは非常に面倒くさいといえば面倒くさいが、エリザベータの力が強くなることはつまり、勇者としての私の力が強くなるということでもある。ならば、夢のような世界に召喚してくれたことだし、多少なりに彼女の望む通りの仕事をしてやるのも仕方ないことだろう。
その世界は、主に四つの大国の支配領域に別れている。
エリザベータが支配する赤の国。それ以外に緑、青、黄の三国が存在し、それぞれ女神を擁して支配権を争っているというわけだ。赤の国のお城のお姫様として私を転生させたエリザベータは、あることを強く忠告してきた。
「いいこと、勇者。貴女の力はまだ、私が支配権を握る赤の国のエリアでしか通用しないわ。他の国に行くと、貴女のチート能力は効果が切れてしまう。だから貴女自身は必ず、赤の国にいるまま敵と戦って勝利する必要がある。外の国へ行ってしまったら、貴女はただの美しいだけの娘になってしまうのだから」
――まったく、面倒くさいわね!私がこの世界で最強最高のヒロインなんだから、他の国に行ってもそれがちゃんと通用しておくようにしておきなさいよ!なんで他の国に行ったら、男どもが私の虜にならないなんてことになるんだか。私はこんなに可憐で可愛いお姫様なのに!
最初。私は腹立たしいと思いながらも、女神の言う通り戦争を行っていた。赤の国の男達はみんな、一目見るなり私の虜になりなんでも言うことを聞いてくれるのである。父親の王様も、兄弟も、兵士達も一般市民も皆同じだ。私のために家族を殺せと言えば殺すし、私のために妻を捨てろと言えば捨てる、そして死ぬまで戦えと言えばためらわずに命を投げ打って戦いに挑むのである。
私はそれが、爽快でたまらなかった。
選りすぐりのイケメン兵士達を私の傍にはべらせ、毎晩好きな男と夜を共にする。彼らは私が望めば好きなだけ独占欲を発揮し、他の男達と私を取り合う喧嘩も演じてくれた。私はそれを見て、これぞ夢に見た逆ハーレム展開だとうっとりしながら叫ぶのである。
「お願い、私のために争わないで!私、優しいみんなが好きなの。誰かひとりだけなんて、選べないわ……!」
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