prologue

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 昼間のスクランブル交差点。  光が乱反射するビル群の一角。  埋め込まれた大型ビジョンには、ワイドショーの一場面が垂れ流される。 「一線は、越えていません」  クローズアップされるのは、不倫現場をすっぱ抜かれ、苦しまぎれの釈明をする著名人の姿。 「そんな言い訳、通じませんよ」 「この方、以前は同業者の不倫を批判していましたよね」  顔をしかめ語るのは、横一列に並ぶコメンテーターの一群。 「凄まじいブーメラン!」 「ていうか、自分たちはバレないって思っていたんですかねぇ」  嘲笑い答えるのは、リポーターにマイクを向けられた道行く人々。  皆、どうして上から目線で語れるの?  あなたも、あなたも。  思いもよらない不貞行為に巻き込まれないとも限らないのに……。
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