月旦(プロローグ)

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月旦(プロローグ)

     これは日本に『遊戯』を取り戻すまでのお話―――  「仕事」よりも「遊ぶ」ことを重視する現代社会人の大量発生が引き起こした、日本国内産業における不況の時代。  これを危惧した日本政府は、厚生労働省に新たな部門【非生産教育廃止委員会】通称:NEACの設置を決定し、娯楽全般の規制を実行した。 ―――テレビゲーム ―――漫画 ―――アニメ  あらゆる規制の手が娯楽文化に広がる中、  それでもなお人々の心を強くうつ『遊戯』の存在があった。 ―――『遊戯楽』  「日本で一番趣深い遊戯はなにか?」を競い合う、各遊戯の世界におけるトップ  東洋なら『家元』西洋なら『プレジデント』  これらの代表者を選出し、その遊戯性を戦闘術=《遊技》という共通した体系に昇華させ行われるこの武闘大会は、  それぞれの流派の持つ遊戯性と闘争の白熱感が組み合わさることで、生きることに「趣深さ」を見出そうとする現代の人々の最後の拠り所となった。  ―――しかし  今やその『遊戯楽』も廃止され、  日本社会からはもはや『遊戯』は潰えたのである―――  否  私立「泉南高等学校」  ここに『遊戯』の精神を継承する少女が一人存在した。  『花札流』剣術継承者 現家元  花山 桐江  これは、彼女の成長と戦いを描く英雄奇譚である―――
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