オーロラ花火

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夏休みに入ってから、僕と蒼太は毎日のように一緒に遊んでいた。こう暑い日が続くと、何もやる気がおきない。プールや海にでも行けば良いんだろうけど、近所のプールは小さな子供たちでいっぱいだし、僕たちの住んでるところには海がない。ゲーセンや駄菓子屋に行った後に、僕の家に行ってゲームしたり漫画読んだりするという流れだ。 僕たちはそれぞれお目当てのお菓子を買って、すぐに外へ出た。駄菓子屋のとなりのヘビ公園では蝉がうるさいくらいに鳴いている。ヘビみたいな形の滑り台があるから、昔からそう呼んでいる。 「そういえば、蝉って前は昼しか鳴かなかったのに、最近では昔より気温が上がって暑いから夜もずっと鳴くようになったんだって」 僕はこないだ見たテレビを思い出して言った。 「うん。僕もテレビで見たよ。夜でも明るいのも関係してるみたいだよね」 蒼太はさっき買ったアイスを食べているが、あっという間に溶けだしている。 「最近、マジで暑すぎだもんな。蝉も 違いするわ。もう日本って熱帯地方なんじゃないの」 ジリジリと照りつける暑さにうんざりしながら僕は言った。 「熱帯地方と言えば、いっちゃん。こないだの話、そろそろ計画立てようよ」 一瞬何のことか分からなかった。計画を立てるようなことが夏休みになんかあったっけ。 少し考えたが何も思い出せない。 「ああ、えーと、何のことだっけ」 「いっちゃん、もしかして忘れちゃったの?しょうがないなぁ」 蒼太は呆れた顔をしながら、続けて言った。 「夏休みの間、親に内緒で二人で沖縄の島に行こうって話だよ。思い出した?」 夏休みが始まる前に、そういえばそんなことを蒼太が言っていたような気がする。 冗談かと思って適当に返事してすっかり忘れてたけど、まさか本気だったのか。僕は真面目な顔をして振り向いた。 「蒼太。夏休みに沖縄の島に行くのは確かに魅力的だよ。みんな羨ましがるだろうね。でもね、僕たち二人だけで行くには金もないし、親に内緒でそんな遠くまで行くのはどう考えても無理がある、という訳でこの話はこれでおしまい」 僕は諭すように言った。 「それなら心配いらないよ。僕に良い考えがあるんだ。ナイスアイディアだよ。まずはいっちゃんの家に行って作戦会議しようよ」 蒼太の良い考えっていうのがまずあやしい。沖縄と言われ、僕は従兄弟の健斗くんを思い出した。 「沖縄の島ってすごくのんびりしてるイメージだよな。そういえば、従兄弟の大学生の兄ちゃんが沖縄の離島好きで何回も一人旅してるわ。いつもお土産買ってきてくれるんだよね」 「いっちゃん、僕たちは旅行で行くんじゃないよ。これは夏休み中ずっと向こうに行けるチャンスなんだから」 ますます分からなくなったが、とりあえず僕は蒼太のナイスアイディアとやらを聞いてみることにした。
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