オーロラ花火

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お互いの親に、今日の夜に打ち合わせしたことを話してみることにした。 うちの親は多分なんとかなるだろう。でも蒼太の家は確か、意外と厳しいはずだったけど大丈夫なんだろうか。そんなことを考えてたら一階からご飯ができたと母親に呼ばれた。 「お父さんもお兄ちゃんも遅いから、先に二人で食べちゃおう。今日はいっちゃんの好きなチーズハンバーグだよ」 うちの母親は今だに僕を子供扱いする。実際僕はまだ子供だからしょうがないけど、クラスメイトの前とかでは勘弁してほしい。そんなことより父親も兄ちゃんも今日いなくて助かった。二人にいろいろ突っ込まれたら、確実にぼろがでる。 母親は良いか悪いかはわからないけど、疑うことを知らないからきっと上手くいく。とにかく作戦決行だ。 「あのさ、来週から一週間くらい蒼太と旅行に行ってきて良いかな。こう暑いと宿題も捗らないから、山梨の涼しいところに行って勉強合宿でもしようってなったんだけど・・・」 僕はチーズハンバーグを食べながら話を切り出した。 「えー!蒼太くんと?二人だけで?」 母親が驚いた顔する。 ちょっと理由が胡散臭かったかな。立派過ぎても逆にあやしいかと思ったけど、僕は続けた。 「その近くに蒼太の親戚がいるところがあってさ、そこのお兄ちゃんが勉強も見てくれるらしいんだ。一人でやってても進まないしさ」 蒼太とあらかじめ打ち合わせした通りに進める。 「そういうことなら、うちは構わないけど。蒼太くんの親戚の方なら安心だし。そのかわり遊んでばっかりいないできちんと宿題済ませるのよ。お父さんが帰って来たら相談してみてね」 母親は冷蔵庫からデザートのスイカを持ってきた。父親は基本的に放任主義だし大丈夫だろう。蒼太の方はうまくいっただろうか。今は七月末で夏休みは始まったばかり。僕たちは夏休み中いれるだけ沖縄の離島にいるつもりだ。 一週間たっても帰って来なかったら当然心配するだろうから、様子を見て実は沖縄にいることを知らせれば大丈夫だろう。 お説教は帰ってきてからだ。最初は別に乗り気じゃなかったけど、蒼太の話を聞いてるうちに日本なのに海外のように遠い海にポツンとある浮かんでいる島に、僕もかなり興味を持ち始めていた。 怒られるのも宿題も全部後回しだ。
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