ぴんくエイリアン

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たこがホカホカしている。 太陽と塗装の匂いと昼にため込んだ熱。 ネオンの街から抜け出して たこの頭に乗り込み、オレたち2人だけ 夜を独占した。 「星が見えない。」 悲しそうに夜空を見上げる、名前もしらない子。 「お家に帰れない。」 そう言ってるみたいだ。 繋いでいるほうじゃない手で 薄いぴんく色の髪を撫でる。 嬉しそうに笑う、名前をしらない子。 たこのすべり台は宇宙船で この子はきっとエイリアン。 仕事関係の納涼会のあと いつ知り合ったか思い出せないのは 記憶を消されたせい。 なにか目的があるのか?お金か? 帰る場所がないのか? 実験台にしようってのか? こんなオジさんからかうなよ! 思いついた言葉を全部飲み込んで 抱きつかれるまま 流されるがままーー。 *** 宇宙と交信しているのか ぴんくのアメーバ型マシンを使って 日本語とナゾ語で会話するエイリアン。 いつの間にかオレとはSNSの友達。 この子の名前は『ぷぅー』 オレの名前は『タカシ』 ぷぅーは寂しいんだな。 愛されたいのと同じぶん吸い付いてきた。 「バイバイ」 エイリアンのぷぅーは 宇宙へ帰る。
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