第五話「サイコキネシスの可能性」

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「ランチの予定?」 「そう」 「黒巻さん?」 「あ、うん……」  だから、シオンといる時間は自然と少なくなっていた。  とはいえ、前みたいに1日中一緒にいてみたいな事はしなくなっても、たまにはご飯に行くし、映画にも誘うし、帰りに飲みにも行く。  そのつもりでいたけれど、あれからほとんど会えていない。  今日会うのはもう一ヶ月ぶりくらいになるけど、この一年間で彼女とこれだけ離れていたのは初めてかもしれない。去年の夏休みなんかも、何かしらで呼んでは週に数回は呼びつけて遊びに行っていたものだ。 「じゃあ、夜は遅くなる?」 「あー……たぶん?」 「なにそれ」  思わず出た歯切れの悪い返事に遼汰が吹き出す。  光留が家にいようとお構いなしに友達と飲んでくるような男である。気にしないというか、むしろ歓迎というか、自分も気負いしなくていいから楽くらいに思っていたんだろう。  だが、光留としては気まずさも感じていた。  なにせ、これだけ距離を置いたことは初めてだ。あの、カラオケの日の夜から会っていない。  ちょっとだけ気まずいというか、久しぶりすぎて正直緊張している。  いや、久しぶりだからじゃない。あの日、彼女を突き放してしまったから。どんな風に会ったらいいのかわからない。  その後にあった、放火魔との遭遇戦は緊急事態だったのだ。というか、あの緊急事態を挟んでなお、あれから会えていないことが一番の気まずさだ。  翌週に遼汰とのデートがあって、それからずっとこの感じだから連絡を取る機会を見失っていた。  それが今になって、話したいから会おうなんて言われても。アイツ、もっと早く呼べよ。
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