1話 召喚獣になったらしい

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この世には知っていい事と、知らなくてもいい事の二つがある その中で、俺のこの丸っこいボディーの原因を知ることは良いことなんだが バケツに写る自分の姿を見て一瞬、硬直し頭の思考を回転させる 『 これは、犬か……? 』 初めまして新しいボディー 丸っこい顔立ちに短い手足、目尻は吊ってるも丸っこい瞳は濃い青色をして、鼻から下の半分の毛は灰色をしてるのに、半分から上の背中側は真っ黒だ 身体のフワフワ加減やら見ればロン毛の犬にも見えるが、どちらかと言えば狼のように硬そうにも見てる 『 狼か……それも子犬…… 』 狼を子犬と言うのかは分からないが、丸っこいボディーの理由が幼い体型だと理解した よく育成ゲームとかで見る、レベル一位の弱いモンスターがレベルが上がるにつれて進化します、みたいな感じの外見に、この世界がどんな場所が想像が出来てきた 『 つまり俺は、レベル一のモンスターでノアは其を世話するパートナーってことになるのか? 』 ノアが?とバケツから手を離して振り返れば、そこにはふかふかの羽毛を堪能してる、見た目は小学低学年の子供がいた 『( いやいや、絶対に自分でなんとかした方が強くなれそうだろ…… )』 昨日の様子からして、レベル上げをしないような子供だ それは良いとして、強くなるというか精神年齢大学生の俺が、体型が子犬ってことが気に入らないのだ どうやって成長するのか分からないし、 もしかしたら獣のように時間と共に大人になるのか そうすると長くこの身体とお友達ってことになる 『( 子犬扱いされてたから抱っこされたわけか…… )』 昨日の一連の様子を思い出すと、自分の甘さに頭が痛くなる 上手く歩けなかったのはこの身体に慣れてないから、今は使い方を分かってきたから出来るだけ歩こうと決めた 『 なぁ、馬さん。俺は狼なんだろうか 』 「 あははっ。だから言ったさ。君は銀狼とは違うのかと 」 毛並みの色は確かに銀色には思えないし 俺の想像するファンタジー世界の狼ってもっと、こう強そうなイメージだが今の外見は強そうには見えない 実際に歯も小さいから弱いだろう あの自称 神様が言ってた" 速い脚 "なんてものも今は無いと思っていい 成長してから走れるのは想像できるほどに 今の俺には力が無い 『 俺は、成長出来るだろうか? 』 「 そうねぇ。私達のようなものは旅をし、経験を積めば大人になる。けれど肉食の狼の事は知らないねぇ 」 「 同じではないかしら? 」 『 えっ? 』 他の声に気づけば、此方の話を聞いていたらしい 羽毛馬が顔を向けていた 声のトーンからして彼女の方が若々しく思える 「 何事も経験だと思うわ。本能のままに過ごせばいいのよ 」 「 確かに、其が一番だろうさ 」 『 本能のままに…… 』 俺が一番、苦手な言葉だ 直感で動くなんて肉体派ではなく、どちらかと言えば理系で考えてから動く俺には 本能のままに、感じるままに、って具体的な事を分かるわけもなく 頭に浮かぶのは疑問符だけ 『 まぁ、でも……考えていても仕方無いか。色々とありがとう 』 何はともあれ、自分の容姿が分かっただけでも十分かと納得し 御礼を言えば羽毛馬は目を丸くし、彼女達は其々に笑った 「 ふふっ、狼に礼を言われたのは初めてだわ。どういたしまして 」 「 あははっ。面白いことも有るもんだねぇ 」 『 ……そ、そうか 』 俺は狼、立場からしたら襲って喰う側なのだろ だからこそ、礼を言われた事の無い彼女達には 面白い事なんだな 何処か納得していればノアが戻ってきた 「 ノワール、そろそろみつかっちゃうからいこ! 」 『 ガウッ!( 分かった。それじゃ、また何処かで )』 「「 ヒヒィーーン! 」」 此れからの事を考えるには十分なことを教えてもらった ノアに呼ばれて着いていく中で俺はどこか満足していた ペットとしての生活は気に入らないが、獣としての生活なら面白そうだ 『( 丸っこいボディー!俺はこの身体を認めてやろう )』 コロコロした体型も幼いから 成長することを夢に見て、走るノアの後を追い掛けた いや、ノア……子犬ってことを思い出してくれ 「 ノワール……つかれたの? 」 『 ハァー、ハァー……( この町……段差多くね…… )』
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