443人が本棚に入れています
本棚に追加
/262ページ
ファルクと離れて行動することは増えた
召喚されれば何処にいようが、どんなに離れて居ても分かる為に、国の外へと出ては縄張りに入って来た魔物を追い払ったりする
これは俺の自己満足なんだが、ルイスと一緒の時に商人を襲う銀狼の討伐やらしてた為に
国の中に入ってくる魔物は敵と見なす事にしている
その結果、商人が襲われたと言う報告は無く
今日も縄張りを見て回る
『 よし、異常が…… 』
「 ギャァァアッ!! 」
『 なっ!?向こうか!? 』
聞こえてきた叫び声に気付き、マーキングに兼ねた爪の痕と身体を擦り付けるのを止め、声の聞こえた方向へと走って行く
其処には透明馬が倒れ、馬車の積み荷であった箱や檻が転がってるのを見て、急いで駆け寄った
『 貴様、商人!!銀狼の密猟か!? 』
「 ひいっ!! 」
争いはなく平和なのだが、たまに銀狼を狙った密猟者が現れ始めたのも確か
今のところ、捕らわれる程に弱い銀狼はいないし群で行動してるから、密猟者には負けないのだが
襲われそうになったと言う報告がある
木箱の上に乗り、倒れた男を見れば彼は怯えた後に頭を下げてきた
「 違うんだ!!売ろうとしただけだ!!此の国は銀狼とかいるって聞いたから金になるかなって、捕る気はない!! 」
『 それでも他の場所で密猟したんだろ!? 』
「 ひいっ! 」
馬車が何かによって引っくり返ったのは分かるが、魔物の様子は辺りにない
何を売るのか分からないが、それでも魔獣でも捕まえたに違いないと牙を向けていれば
男は気付いたときには泡を吹き出し気絶していた
『 そんな、ウルフを怖がるならこの国に入れないな……つーか、何を売ろうとしたんだ? 』
気を失った密猟者は、後でその辺に彷徨いてる近衛にでも引き渡せばいいと考え
先に、魔獣を助けるべく匂いを嗅ぎ木箱を探る
檻は今のところ何も入ってない
入ってた匂いはあるが、本体がないことをみると売られたのだろう
さて、他に何があるかとふっと微かに聞こえる鳴き声に気付き
耳を動かした後に、吠える
『 ガゥ( おーい、どこにいる )』
「 ギャウッ 」
ん?やっぱり何か聞こたな、って思い
耳を研ぎ澄ませ、箱をもう一度嗅ぎ歩けば
目についた馬車から離れたところに転がった、小さな木箱を見つけた
俺の片足で転がせる程度の木箱
其を踏み蓋の部分を粉砕すれば、ゆっくりと光を求めるように這えずって出てきた獣を見るなり、
驚き身体は跳ね、後ろへと下がる
『 なっ、なにあれ!? 』
「 ギャゥゥ…… 」
小さな声を上げ、ハイハイする様に動く獣は
白色の肌をした何かだった
『 えっ、赤ちゃん?生まれたて?? 』
目も開いて無い赤ちゃんは鼻を動かし、空腹のような声を漏らす
声も枯れてるように聞こえることに焦りはあるも、近付けない
なんせ俺は、赤子に触れたことがない
ルイスの時に拾ったが、あれは布に包まれれてたからなんとかなったし必死だった
だが、今回は違う、地肌じゃないか
人間もそうだが、動物の赤ちゃんでさえ触ったことの無い俺には怖い物としか思えない
壊れそうで死にそうな赤ちゃんにどうすればいいか迷っていれば、コカトリスの足音が聞こえホッとする
「 ロルフさん、密猟者の噂がって…… 」
『 それならあの泡を吹いてるやつ。積み荷を調べてくれ 』
「 はいっ!それで、その獣?はなんですか? 」
『 なんか知ってそうな、ファルクに聞く 』
コカトリスから降りてやって来た、元盗賊であり現在は近衛の彼は、ちゃっかりと盗賊を縛っては頷いた
「 それがいいでしょ。銀狼の子犬には到底見えないので、猫科だと思います 」
『 猫…… 』
猫ってこんな丸かったけ?そう思うが分からないから、取り敢えずフィンレーが俺を咥えて移動してた時を思い出し
歯を立てないようそっと咥える
『 んふ!ひこう!! ( よし!いこう!! )』
「 はい、密猟者も捕まえられたしいい収穫ですね 」
紐に繋げ、コカトリスに乗った彼はズルズルと男を容赦なく引き摺ったまま街へと戻る
そして俺も飲み込むタイミングを失った唾液をダラダラと垂らしながら、ファルクの元へと行ったんだ
「 ロルフ!?うわっ、きたなっ!! 」
『 わふっ!ほへ、はふへけ( これ、助けて )』
汚いのは分かってるが、子猫か知らんがこれを飲みそうだったと後から言い訳しては
ファルクが嫌々に獣を布で包み引き取れば、そのまま急いで、彼の自室へと戻った
最初のコメントを投稿しよう!