7話 味方になるらしい

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「 猫科だろうな…… 」 『 猫科か…… 』 唾液でベトベトだった子猫を拭いたファルクは、 ミルクを人肌程に温めて小皿にいれれば子猫へと与えた 匂いを探り、そのまま頑張って呑もうとする様子を見れば安堵する 「 シュン!! 」 『 !? 』 「 驚きすぎ、鼻に入っただけって 」 くしゃみをした子猫に驚き、身体の毛を膨らませる 確かに顔を全てを浅い小皿へと浸けてるから鼻に入るのは分かる 無理はないと見ていれば、子猫は元気そうに小皿の分は飲み干した 追加でファルクが入れれば、痩せていた身体の腹だけが膨らんでる 「 ほら、やって 」 『 へっ?なにを!? 』 子猫へと視線を落としたファルクは 当たり前のように厚みのある布の上へと子猫を置けば、もう一度、今度はハッキリと告げた 「 拾ったんだよね?親は排泄を促して舐めるんだ。銀狼のメスもする 」 『 ふぁ!?俺はメスじゃない!なら、銀狼達に任せればいいだろ! 』 「 いいけど喰うよ? 」 『 えっ?喰う? 』 そんなやり方は知らないと、首を振って下がる俺に、ファルクが告げた 言葉に目を丸くすれば彼は答えた 「 ロルフは聖獣だから食欲忘れてるけど、銀狼は食べるからな?なんでも。言葉が通じる御前は襲いはしないが、彼奴等は分からん 」 銀狼の子犬以外は食らうと告げた、ファルクに 俺はすっかりと忘れてたことを思い出した そうだ、銀狼はウルフだからこそ肉食なんだ 羽毛馬が襲われたのを思い出せば、こんな子猫ぐらいペロッとおやつになる 『 うっ…… 』 「 喰われて良いなら銀狼に渡すといいよ。俺は仕事だからそろそろ戻るよ、頑張って~ 」 『 なっ、ファルク!! 』 子猫を放置して立ち去った、ファルクに酷い!!と文句を吐き捨ててはもう一度子猫を見る 『 オシッコしないとキツいもんな…… 』 人だった事があるから分かる、と納得し 子猫の傍へと戻り 鼻先で仰向けにすれば下半身を見る 『( 猫科って性別分かんないんだよ…… )』 狼で見慣れてるから分かるが、こっちは分からないと諦めて大きくなった時に知ればいいかと考え 腹から下半身を舐める 「 ギャゥ…… 」 『 逃げんな 』 立ったまましていたのだが、動くから仕方無く伏せになり、片手で身体を抑えて舐めていれば じんわりと布が熱くなるのに気付く 『 おぉ!ファルク!!俺、出来た! 』 やれば出来る!!さすが俺!と無駄にテンションが高くなり、嬉しくなり 布を動かし水気を拭き取ってから、横たわれば 子猫はのそのそと動き腹へと顔を埋めたきた 『( ちょっと可愛いかも )』 フィンレーが子供を好きな理由が分かるかも知れないと、思いながら俺は今日からこの子を世話することになった 夜になり、人型になりミルクを温めては与えて 朝方はファルクがミルクを温めてくれる そして食べては寝てを繰り返しながら、子猫が大きくなるのが分かる 『 早く帰りたい……。きっと、寂しがってる 』 「 随分と可愛がるじゃん。餌にしないの? 」 『 するわけない!小さいんだぞ、目は空いてきて足取りは良くなってきたぐらい 』 「( パパと言うか、ママになってるな )……そっか、頑張ってね 」 排泄は完璧、ご飯も完璧、後は動き回るのを見てるだけでいいと思うも 子猫が来てからファルクと見張りに廻るのにソワソワする 「 そういえば、あの密猟者にちょっと拷問して子猫の出何処を聞いたんだけど 」 『 ん? 』 「 森で拾ったと言って知らないって。なんか密猟者ではなくて、物々交換して生きてる人だった 」 藁しべ長者のあれか、物々交換だからこそ 子猫を拾って、金のありそうな此所でお金と交換して欲しかったのか 其にしても拾うものなのか? 「 子猫が気になるから……。数人、男が言った森に向かわせて魔物調査させてるから、その内に親とか分かるかもしれないよ 」 『 そうか、見つかるといいな 』 「( ありゃ?パパは寂しそうだね )」 密猟者じゃないなら安心したが、子猫を親を探してるならそれで良いことだ 俺は嬉しいはずの報告なのに、何故か喜ぶことが出来なかった 『 ただいま……。はっ、チビ!? 』 ファルクより先に帰り、部屋に戻ればいつもならいる箱の中に子猫の姿は無かった 何処に行ったのかと辺りを見渡せば、ふっと背後に感じる気配に避けた 『 チビ! 』 「 ミャッ!! 」 飛び掛かってきた子猫は、俺の横に転けては 起き上がり、楽し気に前足へと擦りついてくる 『 ただいま、可愛いな…… 』 「 ミィッ! 」 やっと目に光が入るのか、それとも見えるようになったのか分からないが、此方を見上げる子猫の身体を舐めては沢山すり寄る 可愛いくて小さくて守ってやりたくなるような子猫 それは、人が成長するよりも早く 大きくなった 「 パパ~!ごはんー! 」 『 ルーク、さっきも食べただろ? 』 「 おなかすいたー!! 」 みゃーみゃー鳴き続ける、子猫に俺は疲労困憊になりそうだ 離乳食が始まればミルクより五月蝿くなった それに面白がってファルクは生肉とか置いていくだけで、離乳食のように噛み砕くのは俺の役目 面倒だと、子育てに疲れた身体を起き上がらせ テーブルの上に置いてある肉を咬み 床へと持ってくればルークと名付けた子猫は欲しがる 『 待って、待て! 』 「 まった! 」 『 ……( 可愛いのが罪だ )』 ちょこんと座る姿に、俺は我慢してからご飯を与えた 子猫の親はまだ見付からないらしい
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