きちんと治療はうけますよ

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あたしは、ゆっくりと目を開いた。 ……薄暗い。 淡く仄かなオレンジの間接照明が気持ちばかりに灯っている。 ……あれ? 何か違う…… あたしはゆっくりと起き上がった。 「……ここ、どこ?」 そこは見たこともない部屋だった。 本棚にデスク。 デスクの上には立派なデスクトップのパソコン。 薄暗いため、色まではわからないけど、窓とおぼしき場所には暗めな色のカーテンが掛かっている。 そのカーテンはしっかりと閉められていて、すぐ側には名前もわからない観葉植物。 あたしがいるベッド、おそらくダブル。 なかなかな広さ。 こちらも色までははっきりしないが、暗めカラーの布団がかけられている。 そして、そんなベッドにあたしは寝ていたらしい。 「……はて?」 あたしには自らこの部屋に入った記憶も覚えもない。 ……一旦、部屋の外へ出てみよう。 そう思って、布団をめくり…… 「!?」 あたしは固まった。 なんで…? なんでパジャマ着てるの? しかも、男物のシンプルな無地のパジャマ。 こちらも色ははっきりしないが、おそらく暗めのダークカラーに違いない。 ちょっと待って! あたしが着てたのは血まみれの、黄色いパーティードレスと、同じく血まみれの汐崎さんのスーツの上着。 ……それ、どこいっちゃった? 何がどうなってこうなった? 可能性があるとすれば…… まず、抱っこかおんぶか担架かわからないけど、意識なしの眠ってるあたしを、スタッフルームから何らかの方法で運ぶ。 どんな方法であったとしても、結果的にこの部屋に運ばれたのは間違いないと思う。 この部屋に運ばれて、ベッドに寝かされた。 ここまでは、まぁ、いいとしましょう。
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