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……ひとまず部屋から出てみよう。
ここでじっとしていたって、事態が進展するわけじゃない。
もしかしたら、汐崎さんか池内くんのどちらかが部屋に来るかもしれないが、そんなのいつになるかわからない。
待ってなんていられない。
あたしはベッドから降り、部屋の出入り口であるドアへ。
……ちょっと足がふらつくけど……これくらい、どうってことない。
少々パジャマのサイズが大きく、袖から出てる指先はちまっとしか見えない。
裾は床に擦ってしまうが、気をつけて歩けば裾を踏んで転倒……なんてことはないだろう。
足元に注意しつつ、あたしはドアノブに手をかけ部屋を出ると、電気のスイッチなんて触ってないのに、廊下の電気がゆっくりと点灯した。
人感センサーなのかな?
白い壁にフローリングな床。
いくつかドアや引き戸があるが、その中でもすりガラスがはまっているドアに目が行った。
「……電気がついてる。誰かいる?」
汐崎さん?池内くん?
どちらにせよ顔を合わせづらいが、このままという訳にはいかない。
意を決して、あたしはそのドアをゆっくり開いた。
静かな部屋にキィ…とドアの蝶番が軋む音が響く。
そこはリビングのようで、広い空間にダイニングテーブル。
すこし離れた場所には大きなテレビ。
そして、ダイニングテーブルでノート型パソコンを操作している人間が一人。
汐崎さんでも池内くんでもない後ろ姿。
やわらかい女性的な後ろ姿から、おそらく女の方。
さっぱりとしたショートカット。
その人が、ドアの開く音に反応したようで、ゆっくりと座ったまま振り返った。
勝気そう。
その人を見たあたしの第一印象。
どことなく少しキリッとしたアーモンド型の目。
シャープな整った容姿。
……最近美形との遭遇率が高い気がする……
そう思うくらい、この人はキレイな人。
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