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「ここはしおざき動物クリニックの二階よ。」
単純に考えて、汐崎さんの自宅ということだろうか?
診療所の二階部分から上は、病院の院長の自宅と相場が決まってる。
よくわからない場所ではないことははっきりした。
「……リキは?リキは大丈夫なのでしょうか?」
無事に処置は終わったのだろうか?
麻酔をかけたあと、問題は起きてないのだろうか?
「リキ?……ああ、もしかして、病室のケージに入ってた子犬のこと?」
ケージに入っていたのなら、処置は無事に終わったんだろう。
終わってなければ、ケージになんているわけない。
「私がここに来た時は、ゲージの中で寝てたから、きっと大丈夫だと思うわよ。」
「よかった………。」
リキが無事とわかってホッとした。
……さて、次はあたしのことだ。
「あたしの着替えはどなたがしたのでしょうか?」
「それは私。ドレスとアクセサリーは、一応袋にまとめておいたわよ。さすがに下着はそのままだからね。替えなんてないし。服は竜也の借りたから。」
……はて?
竜也とは誰?
……まあ、着替えをしてくれたのが汐崎さんや池内くんじゃなくてよかった。
「あたしの腕、処置されてるみたいなのですが…。」
今は包帯を巻かれたリキに噛まれた腕に、ちらりと視線を向けるあたし。
「洗浄して、薬を塗って。私がちょちょっとね。寝てる間に解熱剤注射して、抗生剤の点滴もさせてもらったから。」
てへぺろなんて言葉がぴったりな顔をする桜さん。
……なんか、すごくたくさん情報がさっきの言葉に詰まってませんでした?
間違いなく一般人じゃないよね?
「桜さんは何者なのでしょうか?」
「私?私はただの医者よ。普通の外科医。汐崎総合病院で働いてるわ。」
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