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「ハイ、セイイチロー。夜ハ寒クナリマシタネ」  柔らかな女性の声が、スピーカーから流れた。 「ああ、そうだね。もう秋だからね」 「オ酒ヲ飲ンデマスネ。オートパイロット専用デ運転シマス。ドチラマデ行キマスカ?」 「ヒストリアまで頼むよ」 「承知シマシタ。現地到着マデ、五分クライデス。シートベルトヲ付ケテクダサイ」 白のSUVは、ヘッドライトを点灯させると、ディスプレイを赤く点灯させている。栗林と伊沢がシートベルトを着けるのを待っていた。  栗林は特にしゃべることもなく、伊沢は、ハローマイケル、と呟きながら、それぞれ後方に手を伸ばし、シートベルトをバックルに嵌めた。  ディスプレイは青い光に変わり、車は音もなく走り出した。
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