悩みの夏は小さな謎とともに

6/191
前へ
/191ページ
次へ
 悠人の確認に詳しく語ってくれる信明は、一応は息子の都合を確認したということか。それはそうだろう。和臣は遊んでいるわけではない。しかし、離れられるのに帰るのが面倒で実験中と言ったのか。それはそれで複雑な気持ちにさせられる。和臣ももう大人だから、いちいち家族に干渉されたくないのだろうか。 「じゃあ、行くか」  一通りの会話が終わったところで、信明の乗ってきた軽トラックの助手席に乗り込む。これもいつものことだ。駅の周辺は神社もあるから発展しているが、ちょっと外れると一気に田舎町。車で移動するのが一番という場所だ。しかも、信明は農家だから軽トラックも当然というところ。 「今年はスイカが豊作だよ。たんと食べてくれ」  そして運転席に乗り込んだ信明は、早速そんなことを言う。それを聞いてスイカかと、悠人は今から楽しみになる。小さい頃は畑の要らないスイカを、畑の肥料にするからということで、棒を持って割っていく遊びをしたものだ。しかし、さすがにこの年になるとそれはやらない。叔父も割ってくれる人がいないと適当に廃棄するようだ。
/191ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加