悩みの夏は小さな謎とともに

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 でも、この年になっても食べるのは大歓迎だ。特に信明のところで作っているスイカはスーパーで買ったものより断然美味しいと思う。信明は凝り性なところがあるから、それで他よりも美味しいのだろうと最近では思っている。それはもう、楽しみになろうというものだ。 「豊作ですか。今年は暑いですもんね」 「そうそう。しかもその割に天候が安定してるだろ。いつもより台風も少ないしな。そのおかげかスイカもたくさんできているんだが、他の野菜も多く出来ちゃってね。収穫も大変だが、出荷できない野菜が多くて困ってるんだよね。何だっけ、供給過剰っていうの。ただでさえ値段が安くなって大変だよ」  そんなことを言いつつも、がははっと大声で笑う信明だ。笑えてしまうところが凄い。何事も前向きに考える人だと思っていたが、こんなことまで笑い飛ばしてしまうのか。 「まあ、うちは米も作ってるからな。そっちの分で野菜の損失はまあまあ補えるよ」 「へえ。でも、そういう野菜って、やっぱり廃棄されるんですか」
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