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「はい、出来上がりー! 中々美味しそうに作れた気がする!」
ほどなくして魚肉ソーセージ入り夏野菜カレーが完成したので、皿へよそってちゃぶ台へ運ぶ。
「いただきまーす」と手をあわせた後かき込むように食べていると、ちゃぶ台を挟んで座る、塩以外の供物を平らげたガチャ神と目があった。
「……大したもんじゃないけど、食べてみます?」
何となくそう言わないといけない気がして、訊いてみた。
「ひと口くれ」
予想通り所望されたが、神様に食いかけを差し出すのは如何なものかと思い、未使用の小皿へ少しだけカレーをすくって渡した。
「ふぅん、美味いじゃん」
「え、マジすか? やった、誉められた! もっと食べます?」
「いらねーよ。お前の食べる分が減るだろ。金困な癖に馬鹿なの?」
誉められて調子に乗った俺を、彼はけなしながら止める。
「俺の頭がよくないのは事実ですけど、一食くらい減ったって何とかなりますよ」
今回が一番の大爆死であるのは事実だが、ソシャゲに課金しすぎて家計がヤバくなったことは、今回がはじめてではない。
だがその都度、実家からの救援物資と、友人知人に助けてもらって生きながらえている。
実家から送られてくる野菜はひとりでは食べきれない量なので、それを周囲に配っていたら「この前もらったからお返し」とおごってもらえたり、何かと色々もらえたりするのだ。
「……お前なぁ……」
ガチャ神はげんなりとした顔でため息をつく。
ここまで話してみた感じ、彼の見た目はチョイ悪で軽薄そうなイケメンだが、中身は結構真面目な神様のようだ。
「それにガチャ神様は塩かけたご飯一杯だけで足りるんです?」
「神と人間じゃ身体の造りが違うからな。それにお前以外からも供物はもらってるし。ま、オレとお前との相性が悪くないせいもあるが」
「どういうこと?」
「食物のカロリーからエネルギーを得てるんじゃなく、神饌であるそれらに乗せられた人間の気持ち――信仰心とかそういうのが、神の腹を満たすし、美味い不味いにつながるってこと」
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