148人が本棚に入れています
本棚に追加
大声を発しながらひとしきり暴れた後、たたんで部屋の隅に置いてあった布団の上へ倒れ込む。
荒い息を吐きながら、もう消費者金融で金借りるしかねぇのかな……と、天井から釣り下がっている古い電灯を薄目で見上げた。
「……ん?」
あまり明るくない電灯がチカチカッと二回、強く光った。
金がなさすぎるのに寿命がきただなんて勘弁してくれよと思った直後、電灯から真下にあるちゃぶ台へ向かって金色の光が一直線にふりそそいだ。
「えっ、えっ??」
続いて光の柱の周囲を、どこからか現れた虹色に輝く蝶が大量に舞いだし、まるでソシャゲのガチャで星五を引いた時の演出のような光景が展開される。
今何が起こっているのかを確認しなければと思うのだが、あまりの光の強さに俺は両の手のひらで顔をかばいつつ、目を閉じざるを得なかった。
五秒か十秒か三十秒か……それくらいたってから、まぶたを貫通する光が弱くなったことを感じたので目を開き、ゆっくりと手を下ろす。
視界に映るぼろアパートの部屋の中にはいまだ虹色の蝶が数匹舞い、金色の光も残っていて――更に異物が増えていた。
「…………誰……?」
リサイクルショップで買ったちゃぶ台の上に、見知らぬ美形が立っていた。
長身ですらりと伸びた手足、チョコレート色の髪に白い肌。
詰め襟の白軍服に白マントを身にまとった、服装もその中身も女性向けソシャゲに出てきそうな男性。
親しみやすいような近づきがたいような、そんな雰囲気の奴が、深い緑色の瞳で俺を見下ろしていた。
最初のコメントを投稿しよう!