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指摘された通り、俺はセックス未経験者だ。
生まれてからこれまでの間に脱童貞を出来なかった理由は、高校は男子校、大学は女子が極端に少ないところへ入ってしまったせいだと考えている。
そして最大の原因は、仲良くしていた友人たちは変わり者が多くて、恋だ愛だというような空気は薄く、恋人がいなくても楽しく過ごせてしまったからでは? と分析している。
けれど俺はまだ大学出たての二十二歳だし、自分で言うのも何だが顔も性格もそこそこだと思っている。
だからエッチなイベントはこれから起こすし起きる予定なので、指摘されてつい赤面してしまったが恥じる必要はないはずだ。――頼む、そういうことにしておいてくれ……。
「お、俺が経験ないってのは今関係ないでしょ?!突然何言い出すんスか?!」
「あるから待てって止めたんだよ」
「どこがどう関係あるんですかね?!」
「もしお前が純潔を捧げるなら、オレはそれを供物として受けとる」
「…………はい?」
予想外すぎる取引の提案に俺の思考が止まるが、神はそんなこと知ったことかとばかりに補足を追加してきた。
「あ、童貞はいらねぇから。オレが受け取るのは処女の方だけだから」
ヨーロッパでは昔、処女税というものがあったらしい、という雑学をエロ漫画で知ったなと思い出す。
アニメや漫画に出てくる巫女やシスターは、処女を失うとミラクルな力を失う、なんていう設定は定番だったりする。
そういう感じで一般的にも昔から、『処女というものは大事で価値があるもの』という扱いだ。
けれど男の――俺の後ろのはじめてが、女性のそれと同等の価値があるとは思えないのだが??
「どうする? 早く決めろ」
混乱して口がきけない俺に、ガチャ神がたたみかけてきた。
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