「マジ万字企画 【キャラクター】編 書評⑥」

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「マジ万字企画 【キャラクター】編 書評⑥」

【⑥】『メスマホ』 著:ふゆ 様  https://estar.jp/novels/25699046  キャラクター編のラストになります。  ふと顧みると、ラノベっぽいラノベは今作が初めてです。BL勢の圧倒的熱量に圧されているというのもありますが、(私も影響受けすぎていますが)、ミステリィあり、純文学あり、青春小説、恋愛小説、劇画ドラマ、そしてここに来てコメディ系のラノベという、多彩な作風に恵まれて光栄であります。  まず、前回に引き続き言い訳から入ります。  ここ数年のラノベ界隈のマーケティングはしておりません。たぶん十年以上していません。  これを真っ先に話す理由が、ラノベ、というか今回の作風にあります。特に、ワードチョイスです。流行を取るワードチョイスや世界観は、はっきり言って市場調査無しでは何も言えないです。「今」「ラノベ」を読む「若者」に、「どういうものが受けるのか」を知っていなくては、称賛も指摘もできないのです。 「他ジャンルも同じじゃね?」  はい、同じです。ですが、ターゲットが違います。  ラノベは若い世代をターゲットにしている為、流行の移り変わりが非常に速く、また深すぎる話は邪魔になりますし、表層で勝負しなければならない特色があります。  「作家性」より「センス」を見なければならないので、殊更、書評のハードルは高いです。  今回は感想になる可能性が高いです。友人知人などの同世代、同感覚の読者にもっとも「感想」や「コメント」が欲しい分野ですね。皆様のコメントが、作者を育てます。    一通りの言い訳が終わりましたので、内容を見ていきます。  ある日、携帯電話に「悪魔」が取り付きます。悪魔は無理難題をユニークな方法で主人公に吹っかけ、これを達成することで主人公の環境に変化が訪れます。この変化は、主人公が「なぜニートになってしまったのか」を紐解く導き手となり、物語が動いていきます。  連載中ですので、ここまでです。  「デブのニート」という設定を上手く活用した展開になっており、「デブ」だからこそ発生するクエストが発生し、それを解消したから発生する次のクエストが始まり、この一連の流れで「主人公の苦難に立ち向かう様」を描かれています。  ストーリーという展開によって主人公の苦難が表現されているのが非常に心地よく、テンポ感が生まれています。主人公にも感情移入ができ、キャラとしてもしっかりと立っています。  また主人公が受け身の場合に必要になる「導き手」として悪魔(?)が描かれていますが、こちらの出来が良く、コメディならでは軽快さと、アクセントとなる「不穏」を一手に引き受ける素晴らしいキャラクターでした。(もっとダーティに、意味深にしても良いかと)  章立て毎に「ゲーム」内容が変化し、「ダイエット対決」「男女の入れ替わり」など、読者の興味を絶やさない工夫もされており、次々とページを捲るテンポ感が爽快です。  設定の妙もあってか、人間ドラマもコメディを損なわない程度に入ってきており、読み物としても十分な魅力がありました。  個人的には、「デブ対決」後の彼氏だか幼馴染だか分からない舎弟の男が面白かったです。  んん……。ちなみに、今書いたものは「感想」です。個人的に好き、もしくは嫌い、でしか判断がつかない意見です。  感覚的に「面白い」か「面白くないか」のアンケートを取るのは「市場調査(マーケティング)」の一つにあたり、これが必要とされる分類作品でしょう。  コメディの場合、特に必須です。  よくお笑い芸人さん達が使う言葉に「舞台にかける」とありますが、これは「試す」という意味です。日常の会話でも、どのような場所(居酒屋や楽屋、家であろうが、車中であろうが)、ところ構わず試しています。  故に、BLオーラ漂うこの企画にご参加して頂いた心意気が、私は何よりも嬉しかったです。  どんどん掛けて行って下さい!  試した分だけ伸び率の高い分野です!  指摘も入れておくと、序盤の情報整理が必要です。情報が多すぎて渋滞しているので、何かを減らして後々に説明を回すなどして整理すると、序盤が読みやすくなります。  後、芸人などの養成所に行くと、まず初めに「一生使えるネタを、十年で三本作れ」と言われます。  時代や年齢に関わらず、人間が「面白い」と思えるポイントを三つ掴め! という意味合いです。(実際にこれができるのは、一万人に一人くらいの割合です)  どうすれば「心」から人が笑うのか? 普遍的なバラエティ要素、その他「チャップリン」や「バスター・キートン」などの作品も参考になり、より幅広い層への支持基盤ができるかもしれません。 『まとめ』  久々にラノベらしいラノベを読みました。私もこうしたものを書きたいのですが、お年頃が過ぎてしまい、もう理屈無しで物を書けなくなってしまいました。昔書いたラノベを読んでも、続きは書けません。当時の勢いに体力がついていきません……。  やっぱり、その時に書けるものはその時にしか書けないと、つくづく感じます。  勢いと熱量は文面からも溢れていましたので、書けるだけ書き、あらゆるものを吸収する行動力を維持していって欲しいなと感じた次第です。  ――― 次回告知 ―――  前述通り、次回も募集させて下さい。 【募集日時】  9月19日 20:00~ (来週はお休みします。そろそろ自分の作品を書かなくては……)    テーマは、 「謎」  道中、「ミステリィ」と書きましたが、限定的でしたのでこちらにします。  謎があれば何でも良いです。探偵がそれを解決する推理物でも、謎によって動かされるSF的な世界でも、彼氏の謎を突き止める恋愛物でも、「謎」があれば何でもOKです!  この「謎」を、どのような演出プランで盛り上げているのかを中心に読ませて頂きたいです。  多くの皆様にご参加頂けますと幸いです。
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