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「マジ万字【対談】企画 BL座談会」
秋のBL祭り!
皆様、程よい気候で読書が、執筆が進んでいらっしゃるか事でしょう。取りたて、秋はコンテストも目白押し。そんな熱の籠った小説シーズンに、ちょっとワインを片手に語り合ってみましょう。(ワイン飲めませんが)
万字企画も第六回。
その第一回が「BL編」でした。そもそも、この一回で終わるつもりでしたが、あれよあれよという内に定期開催となっております。
BLを読みたかった理由は、私が書きたかったから。そして今現在書いているのですが、全くボーイズがLoveしていない不甲斐ない戦績となっております。
ともあれ、私も二篇書きました!
書いたからには話してみたい。誰に? リアルに「俺BL書いたんだけどさ」などと話す知人もなければ親兄弟も無い。
ここで話しちゃいましょう!
今回、万字界の「BL勢」三名と座談会を開かせて頂きました。
亜衣藍様、鷹取 はるな様、エマ二世様、ご協力感謝いたします。
では、早速! (以下、敬称なし)
水谷「なぜ、BLで書こうと思ったのか、そこからいきましょう!」
亜衣藍「スタートは『心の葛藤と、純粋で痛いくらいの愛憎』が読みたいなーと。男女の恋愛だと、やれ妊娠だ子供だ浮気だ結婚だ離婚だ何だと、やたらと生臭い話が出て来るのが苦手なんですよね~。
私が読みたいのは昼ドラや韓ドラじゃなくて、時には敵同士になりながらも惹かれ合っていく人間同士の熱いドラマ! そうなると、受け攻めは対等な関係がいい。そうなると、同性同士が一番対等なのではなかろうか、と。
同性を愛したが故に生じる葛藤や軋轢。そんな感情の細かな機微が描けるのもいいですね~。
要するに私は「純粋な人間ドラマ」が見たいのです」
水谷「あー、凄く分かります。私も百合漫画脚本ばかり書いていた時期があって、その理由が『男女の恋愛めんどくせー!』なんですよね。そういうの抜きにして、純真な部分だけ書きたい! って事ですかね? であれば同士ですね(笑)」
亜衣藍「そうなんです、その通り! 男女の恋愛だと『恋愛』以外の打算が過分に混じって来るし。なので『男女の恋愛めんどくせー!』になるんですよね」
エマ二世「BLの概念はお互い牽かれ合ってくっついてハッピーエンドが多いですが、私はハッピーエンドが苦手です。
今書いている時代劇もやほい系ですが、複雑な人間関係の絡み合う中で人間模様を描きながら擦れ違い、くっつかない儚さを出していけたらなと思います。
その昔は、BL=ハードなSMと解釈しており、あっぽーんな激しい作品ばかり書いてました(笑)」
水谷「限界突破って、そういう意味なのですね」
エマ二世「若気の至りは時折暴走しまいがちになってしまいます(笑) 元々限界突破はBLにエロス革命起こすことにあったんです。エロスばかり書いていたら、限界突破し過ぎて一周回って落ち着きました(笑)」
鷹取「亜衣藍 さんが仰るように『同性を愛したが故に生じる葛藤や軋轢』が描きたいのが大きいと思います。
私の場合はもっとゲスと言うか、そこに秘密の香りを強く濃く感じ惹き付けられるからです。
現行世界では禁じられていることが多い同性間での恋愛だからこそ、「人生の秘鑰なり」の一面がより一層際立つのではないかと。では、同性間と言うのならば何故女同士ではないのか?
それは多分、究極のないものねだり、『隣の芝生は青く見える』ではないかと自分では思っております」
亜衣藍「女がオンナの話を書いてもつまらんのです。嫉妬、僻み、イジメやお局様とか。すごーい生々しい話になりそうだし。ある意味、BLは聖域になるような……」
(男がBLを書いたら、只のゲイ話になりました……。そういう事でしょう)
鷹取「それはそれで高みの見物をシャレ込むのもオツなもの――、ではないですね。創作はあくまでもお話、絵空事として書いているので、あまりにも現実的過ぎるのはパスです。
リアルはこの現実世界で十分です」
水谷「創作論にも当てはまりますね。『見せたいもの』もそこに抵触してきそうです。『見せたいもの』『書きたいもの』はどうでしょう?」
エマ二世「男にしか出せない生きざま、苦悩の末に葛藤して乗り越えた先に何を見るのか?
先が暗闇だからこそ分からない、予想できない虚無を乗り越える生き方に美学を感じてBLを選び、又は仄めかせちらつかせながら、見せ場として特に意識して書いてます」
水谷「ここ一か月でそれなりの数のBLを読みましたが、その苦悩葛藤が皆様メインテーマですね。苦悩を乗り越える様がもっと美しいです。例えそれが公でも不幸でも。結末の仕上げ方で作家性が異なるのも面白いです」
エマ二世「皆さんもメインテーマが苦悩葛藤の美学ですからね。(現在執筆中の作品は)仕上げる結末がまだ見えませんが、ハッピーエンドにはしたくないです」
亜衣藍「私は逆に、ハピエン大好きです。リアル世界には夢がない分、せめて創作の世界だけでもハピエンにしたい」
エマ二世「夢がない分、ハピエンにしたい気持ちも分かります。私は廃れてグロッキーなので、恐らくハピエン苦手かもです(笑)」
鷹取「私は、未来へとつながる、希望がある結末にしたいと毎作思っておりますね。作品はそこで終わっても、ずっとお話が続いていくような」
水谷「こういうエンドの好き好きもありますが、他にも好きなポイントはありますか?
そうしたポイントを引き立たせる為に気をつけている事、もしくは挑戦してみたい事、考えていきたいところ、などあれば聞いてみたいです!」
鷹取「感情の揺らぎです。恋愛において、攻め受け共に生じる揺れを書いていきたいと思っております。
あと、何かしらの飲食をしない人間はいないと思っているので、そこに個人としての在り方、個性を出せたらなと思ってついつい書き込んでしまっております。
『今後考えていきたい点』ですが、策としては過不足なく丁寧に描写をすることだと思います。
しかし、そうするとスペクタクルな展開でもないのにやたらと長くなります。
これをどうするか……」
亜衣藍「特に見せたいところ……、それはもう、人間ドラマですよ!
登場人物の誰かに、読者側も感情移入できるようにと、それなりに気を配って書いてたりします。
なので、仕事は出来るけれどプライベートはダメ男だったり、素直になれない意地っ張りだったり、恋愛したいけれどその前に諦めてしまう体質の人だったり……色々なパターンのキャラを登場させています。
なので「〇〇さんを幸せにして!」とか「〇〇だとダメなんですか?」など、ストーリーとキャラクターに絡んでくるようなコメントを頂くと『してやったり』と膝を叩いています! 『今後考えて行きたいところ』は、もっと多くの方の共感を得つつ、魅力あるストーリーを作る事です」
水谷「やはり、どの様に『魅力あるキャラクター』を描くか? そこが一番のポイントになりますね。
では最後に、『信念!』をお聞かせください!」
亜衣藍「信念は『人間ドラマ』で魅せる事!
しょっぱなからグイグイ引き込んで、最後まで目が離せない……そういう話を書きたいといつも思ってます。
これもまた、何とも難しい課題ですね……」
鷹取「信念は『一作品に最低、一チャレンジ』です。
同じ作者(私)が書くので、どうしても同じような話になってしまいます。それを避けるために過去作とは違う要素(人称、設定、文体等)を必ず入れるようにしています。
だから作品に統一性がないんですけどね……」
水谷「鷹取さんの場合は、作者に一貫性があるので表面に統一性が無くても成立すと思います」
以上、皆様有難うございました!
かなり概要的な精神論になってしまったので、次回はもう少し細かい話がしたいですね。「(今までの作品の中で)キャラAがキャラBに惚れた時の仕草ベスト3」みたいなものとか、「自分的に燃えたシチュエーション、ベスト3」とか、そんな感じの話もしてみたいです。
これは「祭り」の前説になりますが、私は恋愛物が全く書けない人間です。男性作家は基本的に苦手だと思います。「恋愛は女性のもの」と思っている男性の率は極めて高く、もれなく私もそうです。
とはいえ、こうして物を書く以上は、恋愛要素を扱えないのは致命的。かといって、無数に転がるテンプレは書きたくないし、テンプレで適当に間を埋める「よく見るタイプ」の作品も書きたくない。そんな私が、「あ、書けてるかも」と感じたのは、BLが初めてです。
男性が恋愛を苦手とするのは「ボンヤリしているから」ですが、BLにはこれが無いのです。「同性」という時点でテーマ性を含んでいて、はっきりと「何が」「どうなれば」成立なのかを頭の中で図解できます。
男性作家には向いている恋愛ジャンルだと思いますし、席も空いてそうなのでオススメです。しばらく「男性作家によるBL」を開拓してみようかと思いますので、またお話させて頂けますと、より具体的に女性陣の書く系統との差別化を模索できそうなので、ご協力をお願いいたします。
では、秋のBL祭り! 開催です!
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