本当に

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本当に

 カズミが消えてから、カズミに関するありとあらゆることを調べようとした。だが何一つわからなかった。  カズミは本当に神様なのか。  カズミは本当に存在したのか。  それがわからず、心のすみに引っ掛かったまま2ヶ月が過ぎた。  もうすぐ年の瀬だ。稼ぎ時だ。インフルエンザとかにならないように気を付けないと。  ぼんやり頭の中で考えながら、食材が入っているビニール袋を持って、アパートの扉を開けた。 「帰ってきたん?」  聞いたことのある声がする方向を見ると見たことのあるやつがいた。  顔に狐のお面  高くはなさそうな着物に襟元からはハイネックの黒のTシャツ  足元は下駄 「カズミ?!」 「よぅ」  片手をあげて、ダイニングチェアに座っていたのはカズミだった。 「なんでいるの!?願いを伝えたじゃん!」 「あの願いを叶えるのに全然力足らへんさかい、帰ってきた」 「はあ!?」 「和佐、なんか食べさせて」 「かわいく言ってもダメだ!願いを聞いたんなら叶えてくれよ」  あんなに真剣に言ったのに。すごい恥ずかしい。  赤面している俺をほっといて、カズミは真面目な顔で言う。 「あんたの願いはまだ当分先の話やろ?それまでになんとか力をつけながら、業績上げなならへん」  なんともサラリーマンみたいな言い方をしている。神様に本当に業績は必要なのか? 「そやさかい協力して。わしの手伝い」  にやっとお面の下でカズミが笑ってそう言った。  どうやら自称神様との同居はまだ続くらしい。    本当に願いが叶うか分かるその日まで。
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