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一家
私たち家族は広い敷地に建つ、小さな平屋にすんでいる。
私と、妻と、それに2人の娘。不自由のない幸せな生活。
「おはよう」
妻と挨拶を交わし、支度をする。朝食は食べない。コーヒーを口に含み、ゆっくりと飲み下す。また、1日が始まった。
「今日はなるべく早く帰るから」
私は妻にそう告げ、まだ寝ている2人の娘を起こさぬよう静かに家を出た。
私が留守の間、妻は娘たちの世話をしながら家事をこなし、私の好む食事を作ってくれる。
私はと言うと、敷地内で畑仕事に勤しんでいる。
実のところ、私たち夫婦は妊活に励んでいる。娘たちは順調に育ち、手がかからなくなってきた。次に望むのは男の子。
「あなた、今夜は……」
妻に誘われ、ベッドへ入る。
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