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チキュウ人
我々の祖先は、チキュウという星に住んでいたそうだ。
そこには水も空気も緑も、どんなものでも揃い、それはそれは素晴らしかったそうだ。
文明が進んだチキュウは、少しずつ様相を変えていった。そして、人が住まうには向いていない星へと変貌した。
そこで祖先は宇宙へ出た。
遥かなる旅の末、チキュウの環境や文化によく似たホンビノス星へたどり着き……
少しやせ形のゴリラに似ているホンビノス星人のひとりが言った。
「ニンゲン、異常なし」
モニタールームのような部屋に数名のゴリラ、もとい ホンビノス星人がならんで座っている。
「そろそろオスが生まれないと、ニンゲンが滅んじゃうな」
「あと6匹だもんな……メスをあっちのオスの方ヘ連れていけばどうだ?」
「ニンゲンは、番で過ごすらしいから、新しいオスを育てて、あっちのメスと掛け合わせるしかないんだそうだ」
ホンビノス星人たちは、絶滅危惧種に指定されたニンゲンという種の保存について語らっていた。
一昔前、ホンビノス星の山奥に見たこともない生き物が突然現れたそうだ。
当時は大いに話題になり、狩りが始まった。ホンビノス星人はニンゲンと名乗るその生き物を残らず檻へ入れた。
話す言葉を理解しようと、解析が行われた。そして、意志疎通がある程度出来るようになった頃には、ニンゲンは1/3まで減っていた。
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