PUNISHMENT

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PUNISHMENT

私の住んでいるマンションに似た、石の塔が中央に建っている。 周囲は緑の芝生に囲まれていて、さらに運河に囲まれていた。 空は曇天(どんてん) 芝生の一画は祭壇(さいだん)のように築き上げられ、頂部が平らに(なら)されている。 儀式、(ある)いは拷問(ごうもん)は、そこで行われているようだった。 音が聞こえるようになってからずっと、私の耳を支配してきた悲鳴と絶叫、雄叫び、哄笑(こうしょう)のすべてが、祭壇から聞こえてくるようだ。 赤ん坊の泣き声のようにしつこく耳に食い込んでくるのは、発情した猫の鳴き声か、果てまた女のよがり声か。 時おり混じる低い(うめ)き声は病に苦しむ老人のそれか、それとも果てる直前の男の悦楽の声か。 女は絶えず泣きながら罵声(ばせい)を放ち、ときに高らかに笑い飛ばしているかのようであり、男は常に呻きながら苦痛を訴え、(まれ)懇願(こんがん)しているかのようであった。 いつの間にか近づいていた祭壇の上部で行われていることは、見間違いようもないくらい明確にセックスであり、同時に拷問であった。 私は嫉妬(しっと)羨望(せんぼう)と、同時に微かな憐憫(れんびん)を感じながら、女に問うた。 「これはもしかして、犯人じゃないのか。君を殺した」 「そのとおり。今ね、仕返しをしているところなの」 女の主張は間違っているように思えた。 私が見る限り、男が女に覆い被さり、激しく腰を動かしながら(おのの)きの声を上げているところであり、下で力なくされるがままになっている女ーーあの少女だーーは一切の表情を失くして、ただ泣いているように見えたからだ。 ところが次第に、男は苦痛の声を上げ始めた。
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