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女は3日後、変わり果てた姿となって発見された。
通報したのは、重要参考人にして第一発見者、つまり私だ。
出勤中、運河に浮かぶスーツケースと、上に乗った裸の女を見た。
入水自殺を図ろうとしている!
私はすぐに警察へ通報したが、電話を切って顔を上げると女の姿はなかった。
警察がアルミ製スーツケースを引き上げた。
中からは、女が胎児のように身を折り曲げた状態で発見されている。
私は重要参考人となった。
ほどなく犯人が捕まる。
私と同じマンションに住む、36歳の独身男性だ。
男は当時、「いたずら目的で声を掛け、殺した」と、動機を語った。
時を越えてリビングの床に現れた女――少女と言ってもいい――は25年前と同じ服を着て、歳月の跡すらない昔のままの風貌をしている。
私の疲れた脳みそか、孤独に苛まれる魂が作り出した、幻かもしれない。
女がまっとうな人間ではない可能性だってあった。
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