SINGLE

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とりあえず通報、とスマートフォンを取り出して、そのままテーブルに置いた。 あの時は何度、警察に呼び出されて任意の聴取を受けたことか。 犯人が先に逮捕されたからよかったが、あやうく冤罪(えんざい)を被るところだった。 善意で警察(110)に電話を掛けたせいだ。 私にはもう、義理立てをする相手はいない。 世間体を気にする年齢(とし)でもなくなった。 女がセックスを対価に宿泊を希望するのだから、好きにしてもいいのではないか。 相手が幽霊でも化け物でも、幻でも構わない。 親子ほど歳の離れた女が目の前に横たわっている。 若い女を抱いてみたい、という好奇心に似た欲望が、(へそ)を中心に渦を巻く。 堅固なはずの私の正気が、ここへきて揺るぎ始めていた。 果たして、見た目どおりそこに肉体はあるのか。 確かめるために、私は女の胸へ手を伸ばす。 2つある膨らみの、やや大きい左の胸に手が触れる。 実体は、確かにあった。 柔らかさを持ちながらも弾力のある乳房が、私の手を押し返してきた。
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