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時が経ち、ユウタが中学生になった。私は相変わらずユウタの自室に置かれている。
いつも以上に悲痛な顔をしていたから、気になってしまう。気持ちが通じたかのように、ベッドに腰掛けたユウタが口を開いた。
「さっきね、父さんから聞いたんだ。君とずっと一緒にはいられないんだって」
ユウタが私の「目」を見た。そして、逸らす。
「君と一緒にいられるのは、中学を卒業するまで。もしそれまでに、ネガティブ思考を矯正できなかったら、精神病院に入院させられるんだってさ。
そして、ポジティブ思考になったと認められるまで、監視付きの生活。ネガティブって、そんなに悪いことなの? 生まれつきの性質なのに。今のままの僕じゃ、自由に外で生きることも許されない。だから、自分を押し殺す術を身につけなきゃいけない」
ユウタが再び顔を上げて、私を見た。
「これからは、君に頼るのを辞める。僕は、自分で自分の感情をコントロールできるようにならなきゃ。そうしないと、人権がなくなってしまうから」
立ち上がり、私の「頭」に手を置く。
「泣きたい時は、君に話をするよ」
ユウタはもう片方の手を、自分の胸に当てる。
「僕の感情は僕だけのものだよ。誰にも渡したくない。もちろん君にも」
ユウタは泣きそうな顔で笑った。
ないはずの心が痛むような気がした。「胸」に触れてほしい、感情を肩代わりしてあげたいと思った。
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