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「お、お風呂でなんて、恥ずかしいよ……見られたくないところまで、色々見えちゃうよ」
「そんなこと言って、またセリフと表情が合ってないぞ?」
早川さんのスタイルのことは良く分からないが、オレは桐ヶ谷の女性らしい体つきの感触を楽しんでいた。そして、桐ヶ谷のちょっとどころかかなりエロい声を聞いていると、逆にもっと攻め立てたくなるような欲求に駆られてしまう。
病院ではあんな厳しい視線を送っていたのに、今ではめちゃくちゃ可愛い顔をしているなんて、反則にも程があるだろ!
「っ、わ、私ばっかりこんな恥ずかしいことされて、ずるいよ? ちゃんと、瀬川くんの顔を見ながらが良いな……私じゃ満足させてあげられないかもしれないけれど、一生懸命頑張るから」
惚けた表情をしながら、桐ヶ谷はオレの方へと向き直る。そして、これまためちゃくちゃ可愛い声でキスを迫ってくる。
「風呂……のぼせそうだな」
「続きはどうする……? ベッドに行ってからにしようか?」
「いや……今日はこのままずっと桐ヶ谷を抱きしめていたいな。風呂のお湯が冷めるまで、ずっと」
「それじゃあ、風邪引いちゃうよ?」
何度かキスを繰り返すと、桐ヶ谷は力が抜けたようにオレに体を預けてくる。オレは桐ヶ谷のことを優しく抱きしめながら、柑橘系のシャンプーの良い香りがしている頭をそっと撫でた。
「瀬川くんに抱きしめられると、安心する」
「オレも、桐ヶ谷と一緒にこうしていると安心するな」
「ありがとね、瀬川くん……好き、大好き」
「オレも、桐ヶ谷のこと大好きだぞ」
本当にバスタブのお湯が冷めてしまうのではないかというくらいの間、オレは桐ヶ谷のことを抱きしめていた。
オレにだけ向けてくれる笑顔を、これからも守っていきたい。そして、桐ヶ谷のことが大好きで仕方がないので、何があってもこの秘密の関係を守り通そうと思った。
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