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そんなこんなで、帰宅すると時間は既に夕食時。
食事を作るのは彼の担当だ。
今日の夕食は、エビアボガドと完熟トマトのサラダに、チーズ入りオムレツ。ナイフを入れると、とろけたモッツァレラチーズがこぼれてくる。デザートには手作りのブルーベリーアイス。
私の舌と心を満たす味。お皿はあっという間に空になった。
彼が私のそばに寄ってきて囁く。
「メインディッシュは君だよ。」
「私に触れていいのは、ティファニー買ってくれる人だけよ。」
私は彼から顔を背けるフリをする。
拗ねたように呟く彼。
「ティファニー買ってあげた人ここに若干一名いるんですけど。」
「だから、
触ってほしいって言ってるのよ。」
それくらい察してよね。彼に聞こえるか聞こえないかの私の呟きが届いたのだろう。
「覚悟して」と青臭く、甘酸っぱいセリフを吐く彼。私好みの味だ。
残暑厳しい熱帯夜。
薄明かりの照明の中、左手の薬指にはめられたリングがキラリと煌めいた。
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