8人が本棚に入れています
本棚に追加
夏の欠片たち
思い出すのは、夏の宵闇。
開け放した助手席から見えた流れ星。
永遠なんてないことを知りながら
永遠を願ったあの日。
思い出すのは、夏の夕暮れ。
会社の帰り道の急な夕立ち。
全身びしょ濡れになりながら
涙を隠してくれた雨に感謝したあの日。
思い出すのは、夏の昼下がり。
おじいちゃんの畑でとれた枝豆。
茹でたての枝豆を頬張りながら
夏休みの宿題を必死に終わらせたあの日。
思い出すのは、夏の朝。
朝露で濡れた露草。
すぐに枯れてしまうと知りながら
母親に見せたくて手折ったあの日。
思い出すのは、たくさんのわたしの夏。
ひとつひとつの夏が積み重なった
大切な人たちとわたしとの夏。
最初のコメントを投稿しよう!