夏の欠片たち

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夏の欠片たち

思い出すのは、夏の宵闇。 開け放した助手席から見えた流れ星。 永遠なんてないことを知りながら 永遠を願ったあの日。 思い出すのは、夏の夕暮れ。 会社の帰り道の急な夕立ち。 全身びしょ濡れになりながら 涙を隠してくれた雨に感謝したあの日。 思い出すのは、夏の昼下がり。 おじいちゃんの畑でとれた枝豆。 茹でたての枝豆を頬張りながら 夏休みの宿題を必死に終わらせたあの日。 思い出すのは、夏の朝。 朝露で濡れた露草。 すぐに枯れてしまうと知りながら 母親に見せたくて手折ったあの日。 思い出すのは、たくさんのわたしの夏。 ひとつひとつの夏が積み重なった 大切な人たちとわたしとの夏。
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