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プロローグ
今は朝方の4時。今日もあのブラック企業の会社からふらふらになりながらも家に帰宅した。
いつもいつも仕事は増えるし残業もしなければいけない。そして何と言っても上司が最低だった。
可愛い子にはデレデレで、その他女性社員と男性社員にはゴミ扱い。自分の仕事すら私達にやらせてくる。
私は心底辞めたいのだが、どれだけ退社届けを出したところでそれが受理される事はない。上司にいびられて終わりだ。
そんな私にも唯一の楽しみがある。それは、小説やアニメ、ゲームなどで悪役を見る事だ。
私が悪役にハマったのは今から約三年前。私が入社二年目に突入し、ブラック企業の圧で心身共にぼろぼろになっていた時のことだった。
その時の私は、目の下の隈も酷く、それを見兼ねた同期の子に乙女ゲームを勧められた。
私は正直言って興味の欠片もなかったが、良い気分転換にはなるよと言う同期の言葉で少し、やってみようと思い、初めてみた。
私が家に帰り、そのアプリをインストールし、やり始めると、見事にハマってしまった。
私は始め、乙女ゲームなんて、顔もルックスもいい主人公が愛されるだけのゲームだと思っていた。だが、このゲームは、最初に主人公が悪役の女に虐められるところからゲームが始まった。
今思うと、なんでこんなゲームが乙女ゲームと呼ばれるのかもすらわからないが、その時は大分精神的にまいっていたので、普通愛されるはずの主人公が虐められてるところを見ると、気持ちがスカッとしたのだ。
よく、人の不幸は蜜の味と言うけれど、全くその通りだなと思った。
それからと言うもの、どっぷり悪役にハマってしまった私は、悪役が出る小説、アニメ、ゲーム、色々なものを少ないお小遣いで買い漁った。
私が一番好きな悪役のタイプはぶりっ子だ。これは学園ものの恋愛小説などによく出てくるのだが、世間一般的には嫌われる性格かもしれない。
だが、私はとても好きだ。
なんと言っても、ルックスが可愛いかったり、美人な子が多い。そして、好きな子に振り向いてもらおうとするところが健気で可愛いと私は思う。
ぶりっ子がよく言う台詞は、「男に媚び売ってんじゃないわよ!」とかで、人には誰にでも愛されたいと言う欲望があるんだから、それを全面的に出しているぶりっ子は凄いと思う。
ぶりっ子は、いろんな男に媚び売ってると思われがちだが、そもそも一人の人に愛されようと思って作ったキャラがぶりっ子であって、その人と他の人とでぶりっ子の態度が違うと、その人に嫌われる可能性が高くなる。
だから他の男達にも媚びを売っているように見せかけている、と言う訳だ。
まぁ、私は悪役が好きなわけで、その中でもぶりっ子が好きと言うだけだ。勘違いしないでほしい。
私だって、正直私の性格が腐っている事はわかっている。だが、今はそれか唯一の楽しみになっているのだからしょうがないだろう。
私はベッドの上に寝っ転がり、小説を読む。
いつも思うのだが、何故転生系の小説にはぶりっ子が出てこないのだろう。
私なら、王族や貴族に媚び売って、順風満帆な人生にするのだけど。
小説を読み始めると、私を睡魔が襲い、だんだんと読むスピードが遅くなってくる。まぁ、寝れてもせいぜい1時間程なのだが、今日はこのくらいにして寝ようと目を閉じた。
そう言えば、ここ最近ずっと食事してなかったな。最後に食べたのいつだっけとふわふわと考えながら、私の頭はブラックアウトして行った。
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