セミ夫の野望

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今回のセミ夫は違った。今年のセミ夫の覚悟は前世の10倍は違った。 「今年こそはジェントルマンな所をみんなにアピールして来世を人間とやらにしてもらうんだ。」 セミ夫は土の中で何度も練習する。 セミ夫は前々前世にカマキリのカマ太にとっておきな事を教えてもらった。 「いいか?セミ夫。命っていうのは繰り返される。死んでも来世ってのがあってまた生きていくんだ。その時はセミとして生きていくかは分からない。お前は前世うるさく文句ばっかり言ってたからセミのままなんだ。もっとジェントルマンな所をみんなに見てもらえたらお前は来世人間になる事もできるんだ!」 セミ夫は前々前世、その事を知り興奮のあまり「おら人間になるだー!」と騒ぎ立ててしまった。 前々世はセミ界のアイドル、セミリンの抜け殻を拾って興奮のあまり絶叫してしまった。 前世はジェントルマンになる事を忘れて、ただただ「あちーよぉ、あちーよぉ!なんでおらぁ夏にしか出てこれねぇんだ、こんちくしょー」といつも通り騒ぎ立ててしまった。 でも今年は違う。 絶対にジェントルマンになって来世は人間になるんだ。 「おら人間になって、エアコン効いた部屋で昼寝するんだ…」 今セミ夫の暑い夏がはじまる。。
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