第2話 視えるんです。

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 サブレーの袋はデスクの上に置かれたまま動いてはいないのに、幽霊男の手には同じサブレーの袋がある。まるで袋が分裂したようだった。彼の手にある方は、若干半透明で向こうの景色が透けている。  彼はその袋を開けると中身を出してしみじみと眺めた後、おそるおそるといった様子で口に運んだ。  彼がサブレーをかじると、さくっと小気味良い小さな音がした。  そして、じっくり味わうように咀嚼する。 「ああ……うまい。やっぱ、うまいなぁ、これ……」  彼は何度も「うまいなぁ」を繰り返しながら、嬉しそうにサブレーを食べた。
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