第2話 視えるんです。

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「ど、どうしたの? 大丈夫?」  思わず幽霊男にそう尋ねてしまい、千夏はしまったぁ!と心の中で後悔した。また、幽霊男に話しかけてしまったじゃないか。  晴高がやれやれという視線を投げてくる。  あああああ、もう、今日の私、ダメすぎる。  はぁと嘆息をついたそのとき、幽霊男がぽつりと何か言葉を発した。 「これ…………食べてもいいんですか?」  弱い、いまにも空気に霧散してしまいそうな声。でも、驚きと嬉しさが混じりあったような響きがあった。  幽霊の声なんて聞いたのは初めてだったけれど、こちらから会話を初めてしまった手前無視もできない。  千夏は生きている人と同じように接することにした。 「ええ。どうぞ。アナタにあげたものだから」 「ありがとう……ございます……」  幽霊男は涙を拭うこともせず、膝の上に置いていた右手をデスクの上に出すと、ゆっくりとした動作でサブレーの袋を手に取る。  その瞬間、不思議なことが起こった。
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