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突然の転向
昨日見た映画は大当たりだった。特にラストシーンの――志真にどうプレゼンするか考えていると、後ろの扉が開く音がした。それからすぐ、生徒の沸き立つ声も。
反射的に視線を流す。すると、そこには左目に眼帯を宛て、右手首に包帯を巻いた志真がいた。
ただ事じゃないと素早く起立する。そして、心配を投げる生徒の間に割り込んだ。
囲まれる志真は、無言で床を見ている。
「その怪我どうしたの!?」
哀感が漂っている――気がしたのは一瞬で、顔をあげた志真は楽し気に笑っていた。
ギャップに一瞬黙ってしまう。更には包帯がある方の手でピースまで作られ、困惑してしまった。
「中二病はじめた!」
宣言後、フッと意味ありげに笑われ弱冠引く。周りも同じらしく、教室後方に動揺の渦が広がった。
一部、同士が出来て喜ぶ人間もいたが。
「え、いや、本当どうしたの。中二病始めたって何……てか、敢えて始めるやつだっけ、それ」
中二病の知識を急遽掘り出す。確か、自己申請するものではなかったはずだ。いや、本人に自覚はあるらしいが――よく分からなくなってきた。
「詳しくは後で話そう……。では、暫しの時間、文学と言うメロディに身を委ねようじゃないか……」
国語の授業を妙な例えで表された挙句、颯爽と席へ移動され立ち尽くす。
いや本当、昨日の今日で何があったの。そう惑わずにはいられなかった。
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