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 * * *  浴室で、龍さんの手で身体を清められた。  隅々まで優しく洗い、ついでにお互いの触りたいところを触り合って――それだけで僕はもう、たまらなくなっていた。  もっと欲しくなるのを我慢して、ようやく二人でベッドに身を沈めたのはつい先程のことだ。 「……なんか、緊張する」 「なんだよ、今更緊張することあるか」 「えへへ」  シーツの上には大きめのバスタオルが広げてある。その上に横たわり、僕は抱きしめられていた。タオルは柔らかい平織りの生地でできていて、お尻の下がごわつくこともない。  龍さんの手のひらが肌の上をゆっくりと滑っていく。  部屋の中はぼんやりと薄暗い。見上げた天井には、柔らかなオレンジ色の小さなライトがいくつも光っている。 「ん……」  ローションを絡めた指が、僕の中を探る。肌を伝ってバスタオルの上にこぼれ落ちる雫が、少し冷たい。  そうやって身体を丁寧に解きほぐされているうちに、慣れない環境で落ち着かなかった気持ちも、和らいでいくような気がした。  なぜか、ふわりと潮の匂いが鼻孔をくすぐった。
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