『 醒めない夢』  

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31.☑ ~深山康文と果歩の結婚生活  (28)   月末家で一緒に帳簿を確認している時に私は夫に問い掛けた。 「どうして、こんなことになってるの?  斉藤さんが来られない時間帯は新しい人に入ってもらっていて  人材の確保から言うといままでと同じ条件なのに人が替わったからって、 こんなことになるの不思議よね?  新人さんはよほど戦力になってないんじゃないの? 」 「新人のせいじゃないさ、たまたまだよ。景気も悪いし 皆買い控えてるんじゃねぇ?  ちまちま気にしなくていいって。  その内また、上向きになるって。  さてと、今夜のメニュー何?   飯にしようぜ、腹減ったわ」  ちまちまって何。  大切なことなのに腹減ったって何?  人事のように話す夫に腹がたってしようがない。  そんな楽観視してていいのか、と言いたくなるのを ぐっと(こら)えて、食事の支度を始めた。           ◇ ◇ ◇ ◇  そんな風にもやもやして日々を過ごしていたある日、帰宅した夫が 言った。  
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