『 醒めない夢』  

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 8-2☑  髪の毛を見つけた後、洗面台の下を開けて、見た。  夫が無造作に隠したであろう、女の歯ブラシとコップと ブラシがあった。  そして生理用品とスキンまであったさ。  どういうこと?   まっくぅ、頭きた。  夫が会社に行っててよかったよ。  いたら、ぜったい過呼吸起こしながら絶叫してたわ。      私は画像に撮った。  いろいろと証拠にできそうなものは画像に撮った。  今は頭が沸騰して、上手く働かない。  なので、こちらにいる間にできることをと動いた。  来なくていいと言う夫の言葉に感じた違和感。  不安に思っていたことは現実のものとなって 私の前に現れた。  ある、とある芸人が綺麗な女優と結婚していたことが あった。  東京と大阪……別々に暮らしていてそんな中、妻の女優が 今度そっちにしばらく行こうかな、と連絡したら来なくていい と、そのとある芸人は答えたという。  フタを開けてみたら、はいぃ~ とある芸人、別腹の女 いましたぁ~っていうのを週刊誌で読んだことがあった。  私……今 その女優さんと同じじゃない。はははははっ。  いやっ、比べたら申し訳ないよね、私全然美人じゃないし。  私の滞在中、夫は仕事で日中居なかった為 なんとか動揺を隠せたと思う。  わたしが帰る日、夫がほっとしているのが分かって更に 落ち込んだけどね。  いわずもがなだけど、勿論3日間いて夫は私を求めてはこなかった。  ホントによく分かる……分かり易い人だね、あなた。           ◇ ◇ ◇ ◇  結局3日間過ごして、私は帰国した。  帰りの飛行機の中、夫にもう少しで会えるのだと嬉しさで 目を輝かせ外の景色に見入っていた数日前の私はどこにも いなかった。  静かに目を伏せ、シートに座っている私がいただけだ。
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