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30.
~深山康文と果歩の結婚生活 (27)
あぁ、私としたことが何ということ!
つい、油断してしまった。
時は夏と秋の境目、長月に入り微風はあるものの
まだまだじっとりとした暑さが居座っている日のこと。
次の従業員はどんな人に決まったのかしらンなんて
ちょっぴりワクワクしながら娘を連れて散歩がてら
店の様子を見に出かけたのだが。
うちのコンビニは自宅からゆっくりと娘を乗せたバギーを
押しながら徒歩で17~8分のところにある。
夫は毎日自転車で通ってる。
雨の日は自宅前のバス停からバスに乗って行く。
ほんとうに嘘のように良い立地条件でお店を出店することが
できたのだ。
そんな風だから節約も兼ねてお昼は我が家で摂ることが多い。
ここ最近お昼に帰ってくることが減ってるのだが、この日
店の中ををチラ見してその原因が分かった。
店にはどう見ても10代にしか見えないヤンキー風の
女の子と夫が仕事していて、夫はやけににニヘラニヘラしている。
髪の毛は茶髪でふわふわゆるゆるパーマがかかっていて
彼女はコンビニ用の制服の前ボタンをふたつも外し、鎖骨のきれいな線が
見えるよう着崩しており、柔らかなフリルがその周りを飾り、胸元には
洒落たひと粒ペンダントネックレスのハートシェイプネックレスが見えた。
ハート型で真ん中がハート形に空洞になってるやつ。
所謂ドーナッツ型。
この一大事に……
やっと軌道に乗った仕事に……
自分の好みで選んだとしか思えないような人選に
私は激しくめまいを覚えた。
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