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31-2
「斉藤さんね、とうとう辞めるって言ってきたよ。
その代わり仲間さんが穴埋めてくれることになったから
焦らなくていいんだけどさ。
まっ、忙しくなりそうなクリスマスまではなんとか
勤めてくれそうだしね」
「え~、彼女みたいに気働きができて信頼おける人ってなかなかいないわよ?
大打撃じゃない。
ほんとうに大丈夫なの?
斉藤さん、そんなにお母さんの容態良くなかったの?
前お話聞いた時は退院できそうな話で、それまでは来れない日もあるけれどお母さんが退院したらまた頑張ってフルで来ますって言ってたのに。
残念過ぎるよ」
「しようがないだろ?
他所様にはよそ様の事情っていうモンがあるんだから。
俺が今までの倍頑張るから心配しなくていいさ」
そう言う夫はご機嫌で鼻歌を歌いながらビールを開けて
テレビニュースを見始めた。
なんで大切な……店の売り上げにかなり貢献度高めの従業員が
いなくなるっていうのに、呑気にしてられるの?
大丈夫なわけないのに。
あれからも売り上げは一向に快復の兆しを見せていない。
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